頭山満伝
著:井川 聡
出版社:潮書房光人新社
産経NF文庫 S-44 い
出版社:潮書房光人新社 より異本の出版あり
玄洋社、右翼の秘密結社、大陸浪人、といったイメージであった。でも、その考えは誤っていると思う。
玄洋社は、右翼ではなく、武士の生き残り集団なのだ。言い換えれば、漢である。
本書は、玄洋社結社から、GHQによる解散を中心としている
その創始者が、頭山満である
維新で左前になっていた福岡藩の出身で、廃藩置県の嵐の中にいた。
頭山満は、西郷隆盛を敬愛していて、愛読していた、大塩平八郎の「洗心洞箚記」を、頭山満も愛読していた。
右翼というよりも、もともと、武士であったし、家族も、周囲もまたそうであった。明治とはそういう時代である。
西南戦争で西郷は倒れたが、頭山は自分なりに、西郷の意志を受け継ごうとしていたのである。
古今東西、優れた人物は判断が早い。即座に判断する。火急の時に知力は不要であり、捨て身であることが求められる。
殺身成仁:身を殺して、仁を成す
一人でも寂しくない人間になれ
無欲、活淡、至誠、豪快、そして、徹頭徹尾、実践だ。
玄洋社結成の4名のうち、3名は萩の乱の関係者であったが、平岡は、西南戦争の生き残りだ
不思議なことに、頭山満は、板垣退助とも交流があった。自由民権の信奉者でもあったのだ
明治十三年に頭山満は、玄洋社結社の登録を福岡県警に提出している。発足当時は、民権結社であった
玄洋社の憲則、それは、尊皇、愛国、民権の3つだ。もともと、細かい理屈など不要な集団なのだ
大陸を舞台にいろいろな事案を起こしている
・孫文の辛亥革命支援
・朝鮮王妃閔妃暗殺
・中村屋のラス・ビハリ・ボース、チャンドラボース、2人のボースの支援、インパールへの導線
子供への教育はスパルタ式であった
ずるいことはするな
人に笑われることをするな である
南洲遺訓
いくら物資が豊かになろうとも、物質生活が進んだ国家民族であっても、外国を侵略したい
その国民が他民族を見下げたりする国や民族は、文明国とも文明人ともいえない
そういく国は、野蛮国であるといい、野蛮人である
天を相手にして己を尽くし、人を咎めず、我が誠の足らざるを尋ぬべし
出光の創業者、出光佐三
政治家とか、大きな事業をしている人がえらいのはなく、真心の鏡が曇っていない人がえらい
死中に活を求むる
中村天風も、玄洋社の出身である
宮崎滔天は、民権論者であったが、玄洋社の友であった
義を見てせざるは勇なきなり
少数の多数 というのがいい
いかなる大事業にも決して多勢はいらぬ、一人でいい
本当の仕事はいつも少数から生まれる
万事は犠牲的精神に燃える少数の人々の奮起にある
計画は細心、実行は大胆
一日を百年と思え
目次
第1章 新しい旗印
第2章 玄洋社起つ
第3章 一人でも淋しくない
第4章 身を殺して仁を成す
第5章 アジア独立の礎
第6章 東洋平和のためならば
第7章 最後の戦い
第8章 不滅の頭山精神
後期
文庫版あとがき
主要参考・引用文献
ISBN:9784769870449
判型:文庫
定価:1180円(本体)
2022年02月23日第1刷発行