大路直哉の作品一覧
「大路直哉」の「左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「大路直哉」の「左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
左利き当事者である自分にとって気になる一冊だったため、手に取った。
左利きをより強く意識するようになったきっかけは、学校の保健の授業だった。教室の左側には窓があり、左利きの人が字を書くと手の影ができる。その明暗によって目が悪くなると聞き、「確かにそうかもしれない」と感じた。実際、当時のクラスでは自分を含め、左利きの人は全員眼鏡をかけていた。
本書では、そんな右利き中心の社会における左利きの不便さだけでなく、現在ある左利き向けのサービスや、左利きがどのように社会に馴染んでいけばいいのかについても考えさせられる。
「左利きは芸術肌」という話は、レオナルド・ダ・ヴィンチや夏目漱石などを例に挙げてよく語られる。しかし実際には、右利きが多数派の社会だからこそ、珍しい能力を持つ左利きの人が目立って取り上げられているだけで、利き手によって才能が決まるわけではない。「得意な人と不得意な人がいる」というだけなのだと知った。
また、「両利き」と「クロスドミナンス」は別物だということも初めて知った。文字を書くときは左手、ボールを投げるときは右手というように、場面によって利き手が変わる人は「両利き」ではなく「クロスドミナンス」と呼ばれる。両利きについての研究でも、この2つが混同されているケースがあるらしい。
さらに、「左利き筆法」というものが考案されていることにも驚いた。左利きにとって特に難しいのが「はね」だそうで、それをなくして書きやすくした書き方があるという。左利きならではの工夫があることが興味深かった。
日本では特に「周りに合わせる」という意識が強いからか、左利きの子どもを右利きに矯正する傾向が強いという。竹田恒泰さんは、右利きへの矯正が原因で一時期吃音症になったと語っているそうで、利き手を無理に変えることが子どもに与える影響についても考えさせられた。
まだまだ社会の中で認知されにくい左利き。さらにネットの普及やコロナ禍によって人と直接会う機会が減り、自分とは異なる身体の使い方を知るきっかけも少なくなったように思う。
左利きの人にはもちろん、普段あまり左利きを意識することのない右利きの人にも読んでほしい一冊。
(※追記)
ピアノは右がメロディで左がベースやリズムと左利きには辛い楽器。DTMはすべてパソコンでできるようになり、聞き手という辛さからの解放にもなったのかもしれない。
クロスドミナンスになる理由の一つには、右利き中心の社会に適応してきた結果もあるのかもしれない。私自身も『器用だね』と言われることがあるが、たとえばPCのキーボードでは母音のU・I・Oが右側にあるため、自然と右手も使うようになった。そうした日常の中での悪戦苦闘を積み重ねるうちに、左右どちらの手もある程度使えるようになったのではないかと思う。
Posted by ブクログ
自分自身が左利き当事者であるため、タイトル買いした1冊。左利き学入門のような1冊です。
生物的、統計的、歴史的、民俗的、文学的...様々な視点からの文献や論文を用いて左利きについてを論じていてとても勉強になりました。何気なく左利きとして生活していたのですが、左利きに関する記述は世の中にこんなにも溢れていたんですね...興味深かったです。
現代となって「あるある!わかる!不便だよね」というちょっとした共感だけで済む部分も多いけれども、歴史を辿れば左利きは想像以上に苦労を強いられていたのだということも深く印象に残りました。
右利き・左利きっていうのはひょっとしたらかなり身近なマジョリティ・マイノリティなのかなと思います。
Posted by ブクログ
古本屋で偶然見つけた本書。
左利き当事者として存分に「言い分」を噛みしめたく購入。
日常生活における不便さの代表格、駅自動改札での腕クロス問題。これは長年そういうもんだとこなしているせいか、無意識下にあり不便性を実感する機会はもうないな。寧ろ、どちらの手でタッチしているかすぐに思い出せに程自然な動きとなっている。耳目を集める例だが取り立てて不便さを喧伝するほどではないかなーという個人的な感想。
本書による発見は、「左利きの不便益」という概念。日常的に小さな不便さや躓きに苛まれているからこそ、他者を気遣う共感力が培われるのだという論。これは最近はやりのネガティブケイパビリティに通ずるのでは。とはいえ、不便さに耐えきれなく鬱屈とした精神が植えつけられる可能性もあるのでそれぞれ個人間によるとも思う。
昔からの謎、左利きは芸術肌論。自分には全くその才能を感じずに生きてきたのであるが、本書は結論を突き付けてくれた。左利きは「能力の優劣が両極端」になる傾向がある。なるほど!悲しくなるわ。
さらに、左脳に言語中枢があるが左利きは右脳もしくは左右脳両方に言語中枢がある割合が約30%もあるんだと。つまりは、右脳にて言語中枢能力を司り、右脳本来の直観・感情表現などの芸術要素が萌芽しないこともありうる(という私の理解)。なんか自分が小さいころ感じた左利きへの期待を裏切るパーソナリティへの違和感が拭われたわ。
参考文献の多数列挙は信頼性の証。日本や世界における左利きへのとらえ方も学べるし、左利きを過小評価しないで相互理解を進めていこうという指針もおおむね同意。何気ない出会いではあったが、良い読書体験でございました。(最近この締め方一辺倒だな、違う表現を模索しよう)