マネジメントの構成要素が簡潔に整理されており、自分の状況と照らし合わせて次に何を強化すれば良いか、目下の困りごとやそれに対処するためのスキルがどのようなカテゴリに属するのかなどを知るのに適している。
特定のスキルを詳しく学んだり、解決策を見つけたりするための本ではない。本書を用いて自身の勉強すべきス
...続きを読むキルを特定し、そのスキルに関する専門の書籍や教材で詳しく学習するという使い方が良いと思う。
今回、マネジャーへの転身がそろそろ見えてきたチームリーダーという現時点の立場で読んだが、マネジャーに実際になったら、また違った視点で読める本だと思う。たとえば、人材採用や人材評価の章は、必要になったときに読もうと思う。
◾️責任とは
ドラッカーによるマネジャーの定義は、組織の成果に責任を持つ者。責任には、説明責任accountability と、実行責任responsibility の2種類がある。説明責任とは、成果・結果を説明する責任。決定に至るまでの詳細説明や、結果に対してどのような対処をするのか説明を求められる。チームメンバーが実行責任を持ち、マネジャーが説明責任を持つことが多い。
◾️委譲はスキル
委譲を適切に行うことがマネジャーの仕事であり、委譲はマネジャーにとって重要なスキルである。委譲が指示のいらない自立したチームにつながる。丸投げではなく、成果、権限、評価を明確にすることが大事。
委譲と委任は違うらしい。委任はチームメンバーの成長を促す。「エンジニアのためのマネジメントキャリアパス」によると、どのような課題を委任するかを考える際は、判断軸に複雑さと頻度を用いると良い。
単純&頻繁:委任
単純&頻繁ではない:自分でやる
複雑&頻繁:慎重に委任
複雑&頻繁ではない:訓練目的で委任
◾️アクノレッジメント
ラポール形成の技法として、アクノレッジメントとアクティブリスニングがある。このうちアクノレッジメントは、書籍「リモートマネジメントの教科書」で言及されている「気にかける」を達成するのに役立つかもしれない。存在承認、行動承認、結果承認という3つの段階がある。
◾️目標管理制度
・目標の作り方
組織全体の目標、部門目標、チーム目標、個人目標のように細分化することで、組織の成果につながる個人の目標を作る。マネジャーはチームメンバーの目標設定を支援する。
・目標の運用
自己管理はとても難しいため、マネジャーの支援が必要。最低でも月1回のサイクルで、目標に対して「今どこにいるのか」を認識させることが重要。これにより進捗が分かり、改善に向けた行動を促せる。