作品一覧

  • 田中裕明の百句
    4.0
    1巻1,100円 (税込)
    ◆百句シリーズ 名句が気軽に読める百句シリーズに田中裕明が登場! ◆言葉の生れるところ 田中裕明は、一九五九年大阪に生れた。府立北野高校在学中に高校生の短詩型同人誌「獏」に参加、ついで波多野爽波主宰の「青」に入会する。爽波は高浜虚子の最晩年の直弟子で、徹底した客観写生を唱えた人だ。 京都大学工学部在学中、墨書コピーによる十部限定の私家版で出したのが第一句集『山信』(一九七九)。同年「青」新人賞も受けているが、この句集は気後れゆえか師に手渡すことができず、宴席で隙を見て爽波の鞄に忍ばせたという。 技術者として働き、また俳句をつくるというのは試行錯誤によって世界の本質的な姿に触れるという点で一貫性のある生涯だった。 裕明は生活空間にたえず古典世界への通路を垣間見た。それは身の回りの人々を、言葉を介して古典へ昇華するという顕彰の形でもある。 言葉の人であったけれども、世界の真理を究めようとする人であったけれども。裕明は、言葉は思考のみからなるのではなくて、実人生や身辺のくさぐさのことによって生れるものなのだということを、人生を進めるにつれて実感した詩人でもあったのではないか。 (解説より)
  • 膚

    4.0
    1巻1,100円 (税込)
    ◆第一句集 ありきたりの身体感覚を彼は言語にしない。 自らの体も心も凌駕する言葉を、力強く選び取る力が岩田奎にはある。 天才とは呼びたくない。俳壇は今、畏るべき青年をたしかに得たのである。 帯より・櫂未知子 ◆自選十句 紫木蓮全天曇にして降らず しりとりは生者のあそび霧氷林 愛鳥週間調律師この木木を来よ 入学の体から血を採るといふ 柳揺れ次の柳の見えにけり にはとりの歩いてゐたる木賊かな 枯園にてアーッと怒りはじめたる 靴篦の大きな力春の山 ハイビーム消して螢へ突込みぬ 立てて来しワイパー二本鏡割

ユーザーレビュー

  • 田中裕明の百句

    Posted by ブクログ

    その名を冠した賞のある俳人であり、店頭には句集が並んでいる訳でもない、2004年に45歳で亡くなった、私には伝説の俳人でした。
    25歳の評者の揺れとテクニカルに偏りがちな解説に少し戸惑いながらも読んでいくと、幾つかの季語が、作り手のやわらかと言いたい切り口の中で、作り手とともに浮かび上がるのを感じます。

    0
    2025年02月15日
  • 膚

    Posted by ブクログ

    着眼点には親近感を抱いたのですが、それをすくう語彙力、語感は随分違うなあと思いました。この著者に限らないけれど、俳句の外では見ないので辞書を引かざるを得ない言葉が時折あります。平易な言葉で詩を書く詩人とは逆に、豊潤な日本語を駆使して17音で世界をみせる俳人。そこに参入できる人間とできないそのほか大勢ができてしまうような気がするのですが、どうなんでしょうね。

    0
    2024年02月24日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!