他の食系作品の感想にも、これまで幾度か、書いているけど、「〇〇を食べたい」と読み手に思わせたら、それは、良い食系漫画、と私は感じます。
この『新米パン屋と若頭』を読んで食べたくなるのは、当然、パン(ここで、新米、とボケようか、と思ったが、寒すぎて、ホワイトキックだな、と思ったので止めました。英断でしょう)。
パンの魅力は何か、と聞かれたら、正直、アレルギーで小麦オンリー以外のパンが食べられない私は答えられないんですよね。しかし、体質や好みもあるでしょうが、本当に美味しいパンを食べた時って、なんか、こう、幸せになれますよね。もちろん、他の美味しいモノを食べられた時も同じです。
美味しいパンで、お客さんたちを幸せにしたい、とやる気を燃やす女性店主さんが、この作品の主人公。美人で、性格が良く、負けん気が強く、腕が良く、そして、巨乳ってのは、実に好い。技量よりも巨乳の方が大事なの、とツッコまれそうだな・・・一応、言っておくが、私は、貧乳も並乳も巨乳も好きだ。苦手なのは、化乳と呼ばれるレベルの大きさのオッパイくらいだ。
まぁ、私の性癖はさておき、そんなパン職人の前に立ちはだかるのが、パン禁止令を敷く暴力団の強面若頭。パン禁止令って何だ、と思うが、漫画なのだから、そういうぶっ飛んだ設定の方が、むしろ面白い。
ストーリーの流れをざっくり説明すると、組長の命令に忠実ではあるが、実はパンがメッチャ好きな若頭が、ヤクザである自分にも全く怖気づかないヒロインに好感を持ち、こっそりパンを食べさせてもらう日々の中で、少しずつ、彼女に惹かれていく、そんな感じ。
ラブ米が絡んでくる、そういう食系漫画、好みは人それぞれだろうが、私はアリ。当然だが、ストーリーの質を上げてくれる恋愛模様に限るが。近しい所で言えば、『ごほうびごはん』や『中華一番! 極』などだな。
キャラの個性やストーリーの組み立てもレベルが高いけど、何より、目を引くのが、パンの描写。まぁ、当然っちゃ当然である。ラブ米ではなく、パンをテーマのメインに置いている作品なのに、パンが不味そうな描き方をされてたら、感想を書く気にならんし、それ以前に、読むのを途中で止める。いや、下手をしたら、コミックスを引き裂くかもしれん、私の場合。まあ、表紙を見た時点で、パンを美味しそうに描ける漫画家、と解かっていたけど。
食べられない私ですら、美味しそう、と思えるんだから、アレルギーがなく、どんなパンでも食べられる漫画読みは、更に、パンを食べたいって欲求を刺激されたに違いない。作中で、作り方も指南されていたので、もしかしたら、実際にパン作ってみた人もいるだろう。
続編を読んでみたいって気持ちもあるが、綺麗な終わり方をしているので、それは難しいだろう。となれば、新しいテーマに挑戦するのが吉。好きなモノを描いて下さい、と言いたいが、個人的には、やっぱり、次の作品も食系であってほしいな、と思う。できれば、今度は、中華で。ラブコメが入ってくれるなら、今度は、料理人が男であってほしいトコだ。
この台詞を引用に選んだのは、胸キュンが凄かったので。
素人感覚だけど、このシーン、他の所よりも、かなり、気愛が入っていないか?
ほんと、人が恋に落ちる瞬間ってのは、たまらんな。
心が潤ってくれる。
好きって感情は、人を元気よく動かす、最高の原動力なんだな。
このキモチが、七星さんを、人としても、女としても、何より、パン屋の主人として、確実に成長させ、なおかつ、もっと可愛くさせている。
ここまででも、十分に可愛らしいのに、パワーアップしてんだから、そりゃ、終さんは惹かれちゃうよな。
彼の忍耐力には、冗談抜きで尊敬の念しかねぇ。
(好きな人が、自分の好きなものを好きになってくれたら、うれしい。一緒に「おいしいね」って笑いたい。花が咲く瞬間を待つみたいに、喜ぶ顔が見たい。そっか、私、この人のことが好きなんだ)(by西村七星)