モハメド・ムブガル=サールの作品一覧

「モハメド・ムブガル=サール」の「純粋な人間たち」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 純粋な人間たち
    4.0
    31歳にして世界三大文学賞の一つ、 ゴンクール賞を受賞したセネガル人作家、初邦訳作品! 「この国で、生きていても死んでいても居場所がないのは、同性愛者だけ」 実際に起こった事件を題材にセネガル社会のタブーに切り込み、 集団の正義のために暴力を行使する人間の根源的な愚かさと、 社会から排斥されることへの潜在的な恐怖を克明に描いた衝撃作。 セネガル人の若き文学教員はある日、ネット上で拡散されていたとある動画を目にする。 そこに映っていたのは、死んだ男性の墓を人々が暴いている様子だった。 同性愛をめぐる問題には無関心な彼だったが、 思いがけずこの事件を取り巻く騒動に巻き込まれていくうちに、 墓を暴かれた人物について興味が湧き始める。 さまざまな人に話を聞くうちに、彼が直面した真実、 そして選択とはーー。

ユーザーレビュー

  • 純粋な人間たち

    Posted by ブクログ

     セネガルで、同性愛者(と噂された)の男性の遺体が村の人々によって墓から掘り起こされ、その動画がインターネット上に出回った。皆と同じ墓地に埋葬することを拒絶された母親は、腐敗していく我が子の遺体をたった一人で家の庭に埋葬した。一連の出来事を知って感情を揺さぶられた若き文学教員は、しかし、自分の動揺の原因がわからない。当たり障りのない授業を繰り返すだけの淡白な日々だったのに、この一つの事件になぜそれほど興味を掻き立てられ、執着してしまうのか。それまでまったく疑問を持たなかった同性愛=罪という認識は、本当に揺るぎないものなのか。どうしても薄れない動揺の原因を探るため、バイセクシャルのセフレ、厳格な

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    2023年01月09日
  • 純粋な人間たち

    Posted by ブクログ

    「同性愛嫌悪主義じゃないけど、この国で同性愛や同性愛者が普通だとみなされるのが嫌だ」「その"文化"はこの国の価値観・伝統には馴染まない」等セネガルの厳格なムスリムが放ったセリフは、日本でも恐らく共感する人が少なからずいるもので、遠い国の他人事の物語としては捉えられなかった。二国間の違いは、もちろん大きな違いではあるものの、公権力に拘束される可能性の有無、私刑の程度などで、国家自体に根付くホモフォビアの深刻さは同程度なんじゃないかと思う。隣人が上記のような発言をナチュラルに繰り出してしまう危うさがこの国にはまだまだあるし、だから自己を開示しきることが怖い。

    再発見したアイデ

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    2024年05月25日
  • 純粋な人間たち

    Posted by ブクログ

    読書会に参加しました。
    みなさまありがとうございました。


    ===
    セネガルの大学でフランス文学を教えるンデネ・ゲイェは、ガールフレンドのラマから、墓場から遺体が掘り起こされて暴行される動画を見せられる。
    「どうって言われても…こんな扱いを受けるのはこの遺体がゴール・ジゲンってことだろう」というンデネの言葉に怒って出ていくラマ。ンデネは改めて動画に向かい合う。

    「ゴール・ジゲン」とは、ゴールが男、ジゲンが女という意味で「男でも女でもなく、男でも女でもある(P133)」同性愛者を示す言葉だ。
    セネガルは人口約1,700万人のうち96%がイスラム教徒だ。イスラムでは人間には神が決めた役割があり

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    2023年03月21日
  • 純粋な人間たち

    Posted by ブクログ

    厳格なイスラム文化のセネガルで実際に起こった同性愛者に対する事件をヒントに書かれた小説。フランスの権威あるゴングール賞を受賞したセネガル生まれの若き小説家の作品。翻訳者の力もあるんでしょうが、その筆致に感心します。

    0
    2024年04月03日

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