作品一覧

  • 貧困とは何か ――「健康で文化的な最低限度の生活」という難問
    4.0
    1巻880円 (税込)
    貧困とは「お金がないこと」だと思っている人は多い。では生きていくための最低限のお金さえあれば貧困ではないのか? 貧困の定義は実は時代ごとに課題にぶつかり、形を変えてきた。貧困層を劣った人間と見なす優生思想、男女差別を前提とした家族主義、子どもを救うに値する/しないに選別する投資の論理、貧困を努力の問題に還元する自己責任論……。気鋭の研究者が、「貧困」概念をめぐる議論と問題点を整理し、「貧困」が今もなくならないのはなぜかという根本的な問いに対峙する。
  • 貧困理論入門 連帯による自由の平等
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    1巻2,200円 (税込)
    「貧困理論」を基礎から解説する初の入門書 貧困とは何だろうか? 本書では、ブース、ラウントリーらの貧困調査による「絶対的貧困」からはじまり、べヴァリッジの社会保障論を経由して、タウンゼントの「相対的貧困」、EUの「社会的排除」へといたる、「貧困概念」の歴史的な拡大過程を追いながら、貧困対策の理論的核心を探っていく。貧困研究で期待の若手が、資本主義における階級と階層の両概念に改めて光をあてつつ「貧困理論」を基礎から解説する初の入門書。 【目次】 [第1章] 「貧困」とは何か――諸概念の整理 [第2章] 絶対的貧困理論 [第3章] 相対的貧困理論 [第4章] 社会的排除理論 [第5章] 「自由の欠如」と現代日本の貧困問題 [第6章] 階層論的貧困理論と階級論的貧困理論 【著者】 志賀 信夫 県立広島大学保健福祉学部准教授 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了、博士(社会学)。NPO法人結い理事。日向市子ども未来応援会議副会長(宮崎県日向市による子どもの貧困対策会議)。主な著書に、『貧困理論の再検討―相対的貧困から社会的排除へ』(単著、法律文化社、2016年)など。
  • なぜ基地と貧困は沖縄に集中するのか? 本土優先、沖縄劣後の構造
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    1巻2,499円 (税込)
    基地と貧困の公正で民主的な一体的解決をめざす提案の書 「本土復帰」から50年を経てもなお、いまだに基地と貧困が集中している沖縄。 安全保障のためには基地の集中は仕方ないという、一方的な主張に加え、近年、沖縄の貧困問題は、沖縄の人びとの文化や性質に原因があるとする自己責任論が増えてきた。 本書では、このような主張に対して真正面から対峙する。 沖縄の基地問題と貧困問題に共通する原因として、「本土優先―沖縄劣後」という差別構造によりつくられた「自由の不平等」に焦点をあて、基地と貧困の公正で民主的な一体的解決をめざす提案の書。 【目次】 第1章/貧困問題と基地問題を貫く差別の問題 第2章/沖縄の基地問題の歴史と課題 第3章/沖縄の貧困問題の歴史と課題 第4章/平等と平和 第5章/沖縄論の変遷 補論1/現代的レイシズム論からみた沖縄 第6章/新しい提案 補論2/日本国憲法には「平等権」が保障されていない? 第7章/シティズンシップを求めるアイデンティティ・ポリティクス 第8章/沖縄の貧困問題と基地問題の一体的解決を目指して 【著者】 安里 長従 沖縄県石垣市出身、司法書士。沖縄国際大学非常勤講師。石垣市住民投票裁判原告弁護団事務局。「辺野古」県民投票の会元副代表。沖縄生活保護基準引下げに基づく保護費(減額)処分取消請求裁判原告弁護団事務局。 基地問題などに関心を持ったのは、2002年に司法書士となり多重債務者の対応などをしているなかで沖縄の構造的な問題に気づいたのがきっかけ。それ以来、「基地」と「貧困」の一体的な解決を求めて活動を続けている。 志賀 信夫 県立広島大学保健福祉学部准教授 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了、博士(社会学)。NPO法人結い理事。日向市子ども未来応援会議副会長(宮崎県日向市による子どもの貧困対策会議)。主な著書に、『貧困理論の再検討―相対的貧困から社会的排除へ』(単著、法律文化社、2016年)など。

ユーザーレビュー

  • 貧困とは何か ――「健康で文化的な最低限度の生活」という難問

    Posted by ブクログ

    貧困論について、私自身は詳しくはないが、おそらく秀逸の書であると思う。まず貧困概念の変遷より、絶対的貧困から相対的貧困に、そして今は社会的排除。社会的排除が貧困概念とは初耳。貧困概念を進展させてきたのは、かつては労働組合、その後は「家族主義」に基づく女性差別反対への運動、おそらくフェミニズムも含む、そして人種差別や移民に対する排除反対なども含む多様な運動が後押ししている。結論としては、現在の資本主義の枠組み内では貧困や差別は撤廃できない、生産関係論的(階級論的)貧困理論から考えるしかない。そのための運動を行なっていき、社会をどのように変えていくがポイント。「子ども食堂」の問題についても人権論よ

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    2025年09月15日
  • 貧困とは何か ――「健康で文化的な最低限度の生活」という難問

    Posted by ブクログ

     かつては一億総中流の幻想がそれなりに信じられていた。しかし、大都市のなかにある駅や公園などにはかなりのホームレスがいたのも事実だ。最近はその数は減少しているようだが、実際には見えない形で不如意な生活をしている人は多い。
     本書では貧困の定義を多方面から述べていく。そしてそのイメージを下限に設定して、生活苦を小さな枠に入れ、そこに達しない状況の場合は本人の努力不足などの自己責任で論じることが多い現況を批判している。確かにそうした論調をよく耳にする。冷笑する人々は、人々の不幸の本質を知ろうとしない。
     貧困の発生が資本主義という社会システムが生み出すものであることも指摘されており、我々が金科玉条

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    2025年08月26日
  • 貧困とは何か ――「健康で文化的な最低限度の生活」という難問

    Posted by ブクログ

    資本主義が発展してきたイギリスで、貧困に関する理論的な議論が始まったところからスタートしたが、現在の貧困を追認する形の分配関係論的貧困理論を紹介している.さらに貧困を根絶するための考え方として生産関係論的貧困理論も登場した.p191に「貧困とともに人間集団の差別を撲滅したいのならば、資本主義的生産関係に対するアプローチが必要である」と総括しているが、資本主義自体を変えていくことが必要だと主張している.おぼろげながら理解できた感じがした.

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    2025年06月27日
  • 貧困とは何か ――「健康で文化的な最低限度の生活」という難問

    Posted by ブクログ

    貧困について、歴史的に絶対的貧困→相対的貧困→社会的排除のように認識が変化してきている。
    絶対的貧困とは、食事や栄養が取れないのように、動物的生存のために必要なことが欠けていること。相対的貧困とは大多数に比べて所得が欠けていること。社会的排除とは、社会参加できていないこと。社会参加できてない=社会的排除=貧困=あってはならない生活状態という風に結論づけている。

    私も感じていたが、日本人は自己責任論に傾倒しがちな気がしている。この自己責任論は、今の投資アプローチからも生まれてるのではないかと提言していた。投資アプローチ、つまり子供の時に投資回収できそうと見込まれる対象に対してお金を投資するとい

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    2025年05月27日
  • 貧困とは何か ――「健康で文化的な最低限度の生活」という難問

    Posted by ブクログ

    同時期にウェルビーイングにまつわる新書に触れていた比較でいうと、本著は「絶対的」「相対的」という貧困像から現代的な社会排除理論という流れが端的にまとめられていて入門書として好感が持てた。
    いずれの書籍でも宇沢弘文の社会的共通資本などの自分好みの複数の著述が紹介されていて、やはり関心の程度が高いことを実感したがあとがきでもあるように、貧困ゆえに身内が命を絶った経験から貧困の撲滅を掲げている筆者が今後どのような活動を重ねていくのかという興味はこちらにより引かれるのである。

    0
    2025年03月29日

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