志賀信夫のレビュー一覧
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貧困論について、私自身は詳しくはないが、おそらく秀逸の書であると思う。まず貧困概念の変遷より、絶対的貧困から相対的貧困に、そして今は社会的排除。社会的排除が貧困概念とは初耳。貧困概念を進展させてきたのは、かつては労働組合、その後は「家族主義」に基づく女性差別反対への運動、おそらくフェミニズムも含む、そして人種差別や移民に対する排除反対なども含む多様な運動が後押ししている。結論としては、現在の資本主義の枠組み内では貧困や差別は撤廃できない、生産関係論的(階級論的)貧困理論から考えるしかない。そのための運動を行なっていき、社会をどのように変えていくがポイント。「子ども食堂」の問題についても人権論よ
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Posted by ブクログ
かつては一億総中流の幻想がそれなりに信じられていた。しかし、大都市のなかにある駅や公園などにはかなりのホームレスがいたのも事実だ。最近はその数は減少しているようだが、実際には見えない形で不如意な生活をしている人は多い。
本書では貧困の定義を多方面から述べていく。そしてそのイメージを下限に設定して、生活苦を小さな枠に入れ、そこに達しない状況の場合は本人の努力不足などの自己責任で論じることが多い現況を批判している。確かにそうした論調をよく耳にする。冷笑する人々は、人々の不幸の本質を知ろうとしない。
貧困の発生が資本主義という社会システムが生み出すものであることも指摘されており、我々が金科玉条 -
Posted by ブクログ
貧困について、歴史的に絶対的貧困→相対的貧困→社会的排除のように認識が変化してきている。
絶対的貧困とは、食事や栄養が取れないのように、動物的生存のために必要なことが欠けていること。相対的貧困とは大多数に比べて所得が欠けていること。社会的排除とは、社会参加できていないこと。社会参加できてない=社会的排除=貧困=あってはならない生活状態という風に結論づけている。
私も感じていたが、日本人は自己責任論に傾倒しがちな気がしている。この自己責任論は、今の投資アプローチからも生まれてるのではないかと提言していた。投資アプローチ、つまり子供の時に投資回収できそうと見込まれる対象に対してお金を投資するとい -
Posted by ブクログ
「貧困」の概念・定義の変遷。絶対的貧困から相対的貧困、そして社会的排除へ。私たちの貧困の概念は絶対的貧困や相対的貧困にとどまっていないだろうか。
生活保護などによる絶対的貧困や相対的貧困の「所得の平等」から、社会的排除を克服して「自由の平等」へと世界の貧困概念は変わってきている。
私たちはいまどうすればいいのだろうか? 著者は言う「ベーシック・サービス+ベーシック・インカムで社会的排除は大幅に緩和されていくだろう」と。
一方で、ベーシック・サービスも分配関係の変更を迫るものでしかなく、それでは貧困のない社会の実現は不可能で、資本主義的生産関係にまで手を入れていかなければならない・