知っていることも多かったが、さいごのとんでもない・致すの話はとっても勉強になった!細かい文法の話が入っていないので、初心者向けではあるけど、読みやすかった。
p.20 現代においての敬語は「上下関係」よりも、相手との距離感」を表すことの方が、実際には多いのです。
p.24 敬語っぽい言葉遣いよりも、心のこもった丁寧な言葉遣いな方が、相手に不快感を与えません。
p.32 「お二人でよろしかったでしょうか?」は「2人でしょうか」
よろしかったと過去形にする必要はありません。私なら「2名様ですか」と聞きます。
「おタバコの方を水になれますか?」は「タバコを座れますか?」
〜のほうは、文字通り方向を表す言葉ですから、この場合は不要です。また、遅いになられるは新中敬語です。さらにをタバコを吸いに頭をが重複しているのは、耳につく人もいるかもしれません。
私なら「喫煙席と禁煙席のどちらをご希望ですか?」と聞きます。
「こちら、枝豆になります」や「こちら、枝豆でございます」
になるわ。英語のbecomeのように聞こえます。いま枝豆じゃないけれど、そのうち枝豆に変化しませんと言うニュアンスに受け取れます。私なら「ご注文の枝豆をお持ちしました」と言います。
「1000円からお預かりします」は「1000円をお預かりします」
「から」は、一定の距離幅を表すときにの出発点を意味します。なので、ここでは不要なことがほとんどですね。
また支払っているのに預かりますと言われるのはおかしいと言う意見もあるようですが、会計金額ぴったりに支払っているのであれば、私なら気にしません。つまり、もしお客様は980円の買い物をして1000円を出したとしたら、その場合は私も「1000円お預かりします。20円のお返しです」と言うと思います。会計金額が1000円ちょうどなら、その時は「預かる」のではなく「1000円頂戴します」と言うでしょう。
p.58 方言だけではなく、そこに込められた気持ちと、その奥ゆかしい表現についても、きちんと受け止めることが、本当の意味で「方言に親しむ」なのかもしれません。
p.69 他人に対して寛容である方が、他人を尊重して大切に扱いたいと言う思いに合っているように感じられますし、その方がこの本の思いと近いと感じています。
p.76 「内側の関係」は「ケ」にあたるので、普段遣いのカジュアル差があります。「外側の関係」は「ハレ」にあたり、特別なよそ行き感があります。
p.117 クッション言葉のバリエーション
《断る時》
申し訳ございませんが、残念ですが、あいにく、せっかくですが、ありがたいのですが、申し上げにくいのですが、心苦しいのですが、勝手ながら
《依頼する時》
恐れ入りますが、お手数ですが、ご面倒ですが、ご迷惑でなければ、恐縮ですが
《ねぎらうとき》
お暑い中を、お寒いところ、お忙しいところを、ご遠方を、雨の中、お足元の悪い中、ご足労いただきまして
p.123 お詫びの言葉のバリエーション
ご迷惑をかけしました
配慮が足りませんでした
申し訳ございません
大変失礼しました
深く反省しております
以後、このようなことがないよう充分注意いたします
今後、肝に銘じます
弁解の余地もございません
至らない点があったことを反省いたします
心からお詫び申し上げます
ご指摘はごもっともです
貴重なご意見をありがとうございます
ご指摘いただき感謝申し上げます
p.138 2022年、現在、一般的に「読みやすい漢字とひらがなのバランス」は、3対7と言われています。私が数年前から気になって時々使っている「漢字使用率チェッカー」と言うサイトによると、20%以下が締まりのない文章、30%前後が最も読みやすい文章、40%以上が硬い感じの文章と言う基準があるようです。
p.156 「致す」は、本来、「結果をもたらす」や「到達する」などの意味の動詞です。「不徳の致すところ」などと言うときの「致す」がこれにあたりますね。でも、「よろしくお願いいたします」の「いたす」は、自分の動詞をへりくだった表現するときの補助動詞です。難しい文法の話はあまりしたくないのですが、「致す」と「いたす」は、品種すら違っているのですから、「お願い致します」と書くのは誤りだ、と言う事になりますね。
p.175 文化庁では「させていただく」と言う言葉について、相手もしくは第三者の許可を受けて行う、自分が恩恵を受ける、と言う2つの条件を満たす場合に使用することが適切だと述べています。
例えば、「入館証を確認させていただきます」これは、相手の許可を求めていますし、確認することによって、入管許可を得ていない人物を、その建物の中に入れない、と言う恩恵を受けることができます。なので、この文化庁の条件に沿った正しい使い方といえます。
p.178 中には、させていただくに入れなくてもいい「さ」をさらに挟んでしまう人も見受けられます。
取り組まさせていただきます、読まさせていただきますなどなど。
「させていただく」と使うのが正しい場面であったとしても、これらは 取り組ませていただきます、読ませていただきます、が正解です。
p.213 謙譲語、つまり「自分や身内」に対して使うことで「外側」の人に対して、敬意を表す言葉のバターの1つに、「ご(お)〜する」と言う言い方があります。ご案内する、ご相談する、お調べするなどがその例ですね。時々この言い方について、「自分や身内に対して使うのに、《ご(お)》なんてつけていいのかしら?これって自分に尊敬を使ってない?」て、疑問に思ってしまう人もいるようですが、安心してください。文法の難しい説明は省きますが、ざっくり言うと「ご(お)〜」の後が「する」「いたす」など、自分や身内に対して使う言葉を出しているのであれば、大丈夫です。
逆に、この言葉を、尊敬語、つまり外側の人に対して使うのは間違いです。いくらご、お、がついているからといって、外側向けの敬語表現にはならないので、結果として失礼な表現になってしまうんです。
ご乗車できません、ご乗車になれません、ご容赦いただけませんもオッケー。
p.225 「とんでもない」と言う言葉は、実はこれだけで1つの単語です。文法的に言うととんでもないと言う一語の形容詞です。
「とんでもございません」と言う御用表現があまりにも一般的に広まったために、2007年2月の文化庁文化審議会による敬語の指針で、「相手からの褒め、言葉に対して、謙遜しながら、軽く打ち消す表現として「とんでもありません」「とんでもございません」を使っても問題ない」と答申されたのです。