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「メアリー・C・ブリントン」の「縛られる日本人 人口減少をもたらす「規範」を打ち破れるか」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「メアリー・C・ブリントン」の「縛られる日本人 人口減少をもたらす「規範」を打ち破れるか」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
人口が急減する日本。なぜ出生率も幸福度も低いのか。
ハーバード大学ライシャワー日本研究所の所長による現代日本への現状把握と考察
結論:日本人が幸福で、出産率を上げるためには、「夫が積極的に育児と家事に参加すること」そのためには、男性の育児休業を義務化して強制的に実施することだという
気になったことは次の通りです。
・新しく生まれてくる子どもの数が減り、しかも平均寿命が目を見張るほど上昇しているため、日本では人口が減少しているだけでなく、社会の高齢化が驚異的なペースで進んでいる。
・日本は、人間ファーストではなく、労働ファーストです。
・日本の人たちは人生への満足度が低い。そして、国際的な研究により、人生への満足度が高い人ほど、子どもをもうける確率が高いという強力な実証データが得られている。
・仕事と家庭の両立を支援するための制度や、政策が充実している国では人々の幸福感が高まり、その結果として子どもの数も増えると考えている。
・子どもが親と一緒に過ごす時間をどうやって増やすか。日本では、母親が仕事を辞めるか、勤務時間を減らすかを選択すべきだと考えている。
・日本の男性は、他のポスト工業社会に比べて、子どもと一緒に過ごす時間が極めて少ない。日本人は、父親が家族と一緒の時間を過ごすことを必ずしも重要視していない。
・日本では、女性の育児休暇取得率 81.6%に達しているのに対して、男性は、12.7%にとどまっている。
・日本では妻の母親や夫の母親による支援を頼りにする人が多い。
・育児休業を取得する男性の割合が増加すると、その地域の女性が第二子を産む確率が高まることを明らかにした。夫の参加が当たり前だという社会規範は、若い女性たちの出産に関する意思決定に影響を及ぼす。
・どちらの国でも、夫の給料が妻より大幅に高い場合は、夫が育児休暇を取得する確率が低かった。
・女性の睡眠時間が男性より少ない国は日本だけだ。
・有償労働と、無償労働の時間を合計すると、日本人女性の週平均労働時間が男性にほぼ匹敵すると聞くと、驚く人も少なくないだろう。
・日本の男性は家庭で家事と育児の15%しか分担していない。
・夫が家事と育児に積極的に参加すれば、妻が仕事と家庭を両立しやすい
・夫が家事を多くこなしている夫婦では、妻がより多くの子どもを欲しがる傾向がみられる
・夫が幼い子どもの世話をすることに時間を費やせば、妻は、夫が家庭を大切にするつもりなのだと理解する。
・赤ちゃんを入浴させる時間までに帰宅する父親がふえれば、日本の出生率が高まるかもしれない。夫の育児参加の重要性は極めて大きい。
・雇用の保護がほぼ皆無のアメリカでは、日本のような国よりも頻繁に転職が行われる。正社員、非正規労働者、パートといった概念はなかなか理解できない。アメリカでは終身雇用に類する仕組みが失われて久しく、正規被雇用者という言葉を聞いても意味が解らない人がほとんどだろう。今日のアメリカに終身雇用という考えはほぼ存在しない。
・日本の男性たちがどのように生きるかはみずからの願望や選択よりも、勤務先の会社の意向によって決まっている面が大きい。
目次は、以下です。
序章 日本の驚くべき現実
第1章 日本が「家族を大切にする社会」だという神話
第2章 日本では男性は育児休業を取れないという神話
第3章 なぜ男性の育児休業が重要なのか
第4章 日本の職場慣行のなにが問題なのか
第5章 スウェーデンとアメリカに学べること
第6章 「社畜」から「開拓者」へ
謝辞
参考文献
Posted by ブクログ
ブックマークするのを忘れたが、お寺の僧侶らしい方が、以下のような発言をショート動画でされていた。
「子どもは母親から生まれてくるので、基本的にお母さんが大好きなんです。でもお父さんはそこまで好きじゃない。お父さんがいくら家族のために稼いできても、子どもはお父さんを好きにはなりません。自分が大好きなお母さんを、お父さんも大切にすることで、ようやく子どもはお父さんの存在を認めるんです」
賛否が巻き起こる予感がしなくもないが、「あながち間違いでもないな」と私は思っている。
私は父親っ子の気が強い方だが、それでも母の力になろうとしない場面を目の当たりにすると、決して良い思いはしなかった。
子育て世代や子育てを経験された世代でなくても、モヤモヤするであろう内容。
他国と比べて子育て支援の政策がまだ手厚い方(実は!!)にも拘らず、出生率が伸びず、幸福度も低いままなのはなぜか。
その原因を解明すべく著者は、2012年と2019年、日本・アメリカ・スウェーデンのカップル数組にインタビュー。(ちなみにスウェーデンは、公的サービスと国民の意識共にパーフェクトだった。さすが福祉大国…) 加えて数多のデータ資料を、本書の軸としている。
子どもがまだ小さいうちは、パートナー(日本の場合、主に夫)にも育休をとってほしい。育休が明けても早く帰ってきて欲しいのに、残業や飲み会(会食)・持ち帰り仕事で手が塞がっていて、結局ワンオペ育児に追い込まれてしまう…。
そんな(過酷な子育てをくぐり抜けてきた同期から)一度は聞いたことのある子育て問題が、各章で紛糾していた。(終章では著者が色々提言してくれているけど)
2012年の時点で日本の企業では、男性の育休取得率が非常に低く、男性社員の誰も率先して取ろうとはしなかった。ところが、妻までもがその現状に諦めを覚えており、むしろ悪目立ちして欲しくないと話していたのには、しばらく頭がついていけなかった。
家事育児は手伝ってほしいけど、育休が取りにくい空気であるなら、沢山働いてミルク代を稼いでこいってことなのか…?
「子どもには、両方の親と一緒に過ごす権利があります。そして、父親も母親も、子どもと一緒に過ごす権利がある」(P 37)
「いま必要なのは、男性がもう少し女性のようになることを促す仕組みだ」(P 250)
でも令和を生きる身としては、性別の括りで役割分担(多くは妻に過重負担)するのは、いい加減どうにかして欲しいと思う。
日本政府も然り、日本企業も然り。仕事優先で動いてほしいのは分かるけど、中の人に意識が回らないって余裕なさすぎじゃね?中の人の生活バランスが崩れたら、良いパフォーマンスなんか生まれるのだろうか。
会社の制度を気兼ねなく使い、自分の家族をバッチリ守れる人だって、「理想的な社員」じゃないの?
男女ともに役割が均等になって、遜色なく職場復帰できる体制が整えば、家族揃って毎日食卓を囲むことができる。出生率だって自ずと伸びる。
それに、互いを労わり合う両親を見ていれば、子どもだってお父さんを嫌いになったりしないだろう。
Posted by ブクログ
アメリカを代表する日本研究者である著者が、日本、アメリカ、スウェーデンの子育て世代へのインタビューと国際比較データをあわせて分析することで、日本の人口減少、少子化の原因を指摘し、その解決に向けた政策提言を行う。
具体的には、日本の少子化の原因は男女の役割に関する硬直的な社会規範であると主張し、その解決のために、①子どもを保育園に入れづらい状況をできる限り解消する、②既婚者の税制を変更する、③さらなる法改正により、男性の家庭生活への参加を促す、④ジェンダー中立的な平等を目指す、ということを提案している。
著者の主張は、データに基づく国際比較や詳細な子育て世代のインタビューに裏付けられており、かなり説得性があると感じた。
正直、最近は男性の育児休業に対する忌避的な考えはほとんどなくなってきているのではないかと思っていたが、それはおそらく公務員という自分の立場によるバイアスが影響しているもので、まだまだ日本社会では男性の育児休業に対する理解が深まっていないのだということを思い知った。育児休業等の制度は他国に比べても充実しているのに、その活用が大幅に見劣りするのは、やはり社会規範、意識の問題が大きいのだと思う。
人口減少、少子化に歯止めをかけるために、日本も「共働き・共育てモデル」に社会を変えていかないといけないと強く思った。その上で、日本社会を著者の政策提案はどれもやるにこしたことのないものばかりで、特に、男性の育児休業の義務化は強制的に社会規範を変えていくためにとても有効な一手だと思う。
ただ、日本社会に根深く残る男女の役割に関する社会規範、ひいて言うと深層心理が原因ということであれば、小手先の制度的対応では限界があるような気もした。明快な対案があるわけではないが、もっと一人一人の意識の面から変えていかないといけないのではないか。
その点で、日本の男性が家事育児を全然担っていない状況は、単に長時間労働等のためだけではなく、男性自身の意識の問題の面が強いと思うので、教育や啓発でなんとかなるものなのかは心許ないが、その面の改善をなんとかしていく必要がある。本書でも指摘されていたが、男性の意識改善のためには、男性上司・同僚がカギになるのではないかと思う。