「イモトのWiFi」や「にしたんクリニック」をエクスコムグローバルを経営する西村社長の経営論。そもそもこの二つのサービスを知っているという人はいても、同じ会社が運営していると知っている人はごくわずかだろう。
実は仕事で国際ローミングにも関わっていたことがあり、イモトのWiFiとそれを運営するエクス
...続きを読むコムグローバル社のこともコロナよりも前から知っていた。コロナ危機が拡大してきたとき、海外渡航自粛が長引くとエクスコムグローバル社は経営が危なくなるのではと思った。彼らの主要サービスである海外ローミングの市場自体が数か月、場合によっては年単位でなくなることが想定されたからだ。特に同社は、コロナ直前に渋谷スクランブルスクエアに本社を移転したばかりで、移転コストやオフィス維持コストも財務を圧迫するのではと考えていた。またもともと、業界では「グローバルWiFi」の方が「イモトのWiFi」よりもシェアが高く、まだ安定した経営をしていたが、イモトの方が先にまずくなるのではないかと思われた。
それが、PCR検査の会社を立ち上げたと聞いて驚愕した。最初は同じ会社だとは思わなかったが、イモトのWiFiの状況を調べていたらそうだということがわかった。TVCMを駆使して先んじて知名度を上げ、コロナが長引けばそちらからの収益が期待できるし、コロナが想定よりも早く収束すれば海外WiFiルーター事業が持ち直すというレジリエントなポートフォリオになったと聞いて本当に脱帽した。おそらくは、そのままMBAのケーススタディに使えそうな事例だと思う。
西村さんは、とにかく知名度を上げることに集中することで一点突破するという自らの手法を紹介している。イモトを使った手法もそうだし、郷ひろみを使ったにしたんクリニックのCM戦略もその通り。ただ、それよりも何よりも決断力と行動力が半端ではないと感じた。アクセンチュア入社して数年後にベンチャ企業を立ち上げたということだが、若い頃から行動力があり、また、そうすることで多くの経験を積んだことで、コロナをリスクとしてだけでなく、機会と捉えてものにすることができたのだろう。コロナ危機を前にして、まずは銀行から30億円の資金を確保するところも経営者のセンスとしてもおそらくとても賞賛されるべきところなのだろう。
いや、凄い。