タザキ
サラリーマン投資家YouTuber。投資本の要約を発信するYouTubeチャンネル「聞いてわかる投資本要約チャンネル」は月間50万PV。大学時代に投資のゼミに出合い、卒業後も余剰資金で投資を続ける。国立大学卒業後、IT企業に勤務。自らの努力だけで会社からの給料を上げることに限界を感じ、投資こそが日本で豊かになるための最短の方法だと考える。本好きが高じて自分の学びをYouTubeで発信したところ、想像以上の反響を呼び、3年間でチャンネル登録者が10万人を超える。現在も週4日勤務の正社員を続けながら、YouTubeやVoicyで投資初心者から中級者までをターゲットに投資情報を発信。2人の子...続きを読む を持つ父。
「日本は世界でも珍しいほど、長い間平均給与が伸びていません。経済成長自体が鈍化しており、企業の貯金といえる内部留保率も高いのです。今後も大幅な給料アップは期待できそうにありません。「これでは資産形成なんてできない」と思うかもしれませんが、実は持っている人は持っています。野村総合研究所のデータによると、日本の富裕層(純資産 1億円以上)は約 124万世帯。これは「純金融資産」で、不動産は入っていません。 次に世界との比較を見てみましょう。クレディ・スイスが公表している、世界の「個人資産」を調べたレポートがあります。ここでの「個人資産」は、金融資産と不動産の合計から、借金を差し引いた額です。こちらによると、日本のミリオネア(調査時点の為替レートで資産 100万ドル =約 1億 1000万円)は、 2021年時点で約 366万人もいるということでした。 野村総合研究所のデータでは準富裕層(金融資産だけで 5000万円以上 1億円未満)が約 341万世帯もあったので、土地や持ち家などの不動産資産も含めたら 100万ドルを超えていてもおかしくありません。 この 366万人という数字は、世界でも第 3位の数字です。 1位はアメリカ(約 2195万人)、 2位は中国(約 528万人)です。いまだに日本は、世界の中でも「お金持ちの人が多い国」といえます。 日本でお金持ち(仮にミリオネア)になることは、そんなに難しいことなのでしょうか。私は、「ある程度、時間をかければ」日本人でミリオネアになるのは難しいことではないと思っています。 なにせ日本には約 366万人もいるのです。持ち家も含めての数字ですが、たとえ持ち家を含めなくても、準富裕層以上は約 474万世帯(超富裕層 9万世帯 +富裕層 124万世帯 +準富裕層 341万世帯)もいるのです。日本の世帯数は約 4800万世帯ですので、およそ 10世帯に 1世帯はミリオネアに近いか、それ以上と考えられます。 資産 10億円と言われると、起業して大成功でもしないかぎり難しいでしょう。しかし、資産 1億円レベルなら、サラリーマンや普通のフリーランスなどの小規模事業主でも、十分可能です。一流企業で出世しなくても、カリスマ起業家にならなくても、何かに秀でた芸能人にならなくても、ミリオネアは「庶民」でも十分狙えるのです。」
—『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』タザキ著
「普通の身なりで、普通の仕事をして、普通の場所に住んでいる、一見となり近所にいそうなお父さんが、実は「億万長者」なんてことが意外にあります。資産を見せびらかしたり、ブランド品、ぜいたく品を周囲に見せつけたりすることはありません。彼らは、自分の成功を自慢するメリットよりも、デメリットのほうが大きいことを理解しています。それに、わざわざ人に誇示しなくても、精神的に充実しているのでしょう。」
—『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』タザキ著
「お金持ちの 8割以上は、自力で成功した勉強家 となりの億万長者たちは大変な勉強家です。と言っても、学生時代の成績は特に良かったわけでもありません。むしろ、教師などから「平均以下の能力」と決め付けられたことで、挑戦することを学んだと答えています。大人になってからも勉強を続けており、資産運用に関する研究や計画づくりに、そうでない人よりも多くの時間をかけています。」
—『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』タザキ著
「突然ですが、今持っている「 100万円」は 1年後も「 100万円」だと思いますか。この人は唐突に何を言っているんだ、と思うかもしれません。たしかに、「現金を金庫においていたら、 1万円札 100枚の束が 105枚に増えていました!」なんてことは、当然ありません。 しかし、金融の世界では、お金は「増えるべきもの」と考えます。それは、「貨幣の時間価値」が考慮されるためです。これはアカデミックな知識です。しかし、お金の本質を知るために大切な概念ですから、金融リテラシーとして触れておきたいと思います。少しだけ数式が登場しますが、なんとなく理解できれば十分なので、雰囲気をつかんでいただけたら幸いです。」
—『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』タザキ著
「「お金を貸すだけで利息を取るなんて! 金の亡者か!」と思うかもしれませんが、皆さんもきっと同じことをしているはずです。それは銀行預金です。銀行預金は、銀行に預かってもらうものと思っていませんか。銀行にお金を預けるとき、私たちは銀行にお金を「貸してあげて」いるのです。銀行はそのお金を使ってさらに貸し付けて儲けています。 お金の貸し借りがあるところに利息が発生する。これらはすべて、貨幣の「時間価値」を考えると当然のことなのです。消費者金融なんて利息を 18%くらい取ります。すごいビジネスですよね。」
—『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』タザキ著
「「家」の場合はどうでしょうか。今、 3000万円が手元にあるとします。この 3000万円には、年利 5%で運用すれば 30年後に「約 1億 3000万円」になる力が秘められています。しかし、普通の人はその力を利用しません。資産価値が目減りしてしまう「マイホーム」という「物」に変えてしまいます。日本では多くの地域で、 30年後の家の資産価値が買ったときの値段を下回るでしょう。 ただし私は、それが絶対悪いとは言っていません。「価値」は人それぞれの感じ方があります。先ほどの式は単なる理屈の話です。 30年間、家族と共に唯一無二の空間で過ごす経験や、自分の城を持つという心理的満足感の価値は、 1億 3000万円を大きく上回る、という考え方の人がいてもいいと思っています。」
—『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』タザキ著
「まとめると、お金を使うときには今の金額だけでなく、その金額の「将来価値」を捨ててまで欲しいかどうかを検討材料にしてはどうか、と言いたいのです。それでも、買うに値すると思うのであれば投資なんかせずに買ったほうがいいし、将来価値を考えてそこまでの価値はないなと思うのであれば、投資に回したほうがいいのです。 人がそれぞれ心の中に持っている「時間割引率」には、個人差があります。時間割引率が高いというのは、将来よりも現在の消費を優先することです。資産における負債比率が高い人の時間割引率は、そうでない人よりも高いことがわかっています。現在の楽しみを優先するあまり、借金をもいとわないためです。」
—『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』タザキ著
「例えば、こんなケースがあります。 20歳の頃に 100万円で体験できる経験を先延ばしして、それを収益率 5%で投資します。 60歳になる 40年後には、約 700万円の価値になります。しっかり増えていますよね。しかし、 20歳なら 100万円で得られた大きさの「感動」を、 60歳になってからでは 1000万円を払っても得られない場合があります。 アメリカのミリオネア、ビル・パーキンス氏による著書『 DIE WITH ZERO』では、人生を最大限に楽しむ方法は「経験の最大化」であり、経験は、思い出という配当を与えてくれるとしています。」
—『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』タザキ著
「思い出は配当のように、ずっと喜びを与え続けてくれるもので、積み重なっていくのです。これは、「若い頃にしかできない経験」をしっかり積んでいたからこそできることでもあります。」
—『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』タザキ著
「 オーストラリア人の介護者で、多くの患者を看取ってきたブロニー・ウェア氏が、余命わずかな患者に共通する5つの後悔をテーマにしたブログを書き、大きな話題を呼びました。 2012年に日本でもその内容をまとめた書籍、『死ぬ瞬間の5つの後悔』が発売されています。男女合計でのベスト 5がこちらです。
1位:他人の期待に従うのではなく自分自身に忠実に生きる勇気を持てば良かった
2位:そんなに働きすぎなければ良かった
3位:自分の気持ちを表現する勇気を持てば良かった
4位:もっと友達と連絡を取り合えば良かった
5位:自分をもっと幸せにさせたら良かった」
—『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』タザキ著
「そして、お金から価値を引き出す能力は、年齢とともに低下していきます。価値を引き出す能力が高い若い頃にお金を使うことで、人生の幸福度は高まり、たくさんの「思い出配当」をつくれます。 注意したいのは、歳をとるにつれて、同じ金額を使っても喜びを見出しにくくなること。ならば、若いうちに使ったほうがいいとも言えるでしょう。「良い経験」には「賞味期限」を決め、金融投資よりも優先して予算に組み入れましょう。まあ、私自身も高齢者になったことがないので、そのときの「感情」に関しては想像するしかありませんが……。」
—『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』タザキ著
「 しかし、若い年齢で年間生活費の 25倍を用意するのはなかなか簡単ではありません。月の生活費を 25万円使うとしたら 7500万円、月 30万円なら 9000万円が必要という計算になってしまいます。一般的に、かなりの大金といえます。 収入が平均的で、ハイリスクな投資をしないとすると、若い時代の経験にほとんどお金を使わずに、収入をひたすら投資に回してようやく達成できる数字かもしれません。実際、 FIREを目指して節約生活を頑張っている人もいるかもしれません。しかし、本当にそれであなたは満足のいく生活を送れるのでしょうか。」
—『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』タザキ著
「トリニティスタディによれば、「株式:債券比率 = 75: 25」、引き出し率 4%で 30年リタイア生活を送った場合、 30年後の資産額は平均で 9倍、中央値でも 8倍以上に増えることになっています。 50歳のときに 7500万円の資産をもって FIREしたとすると、 80歳で 6億円以上が残っていることになります。資産をとにかく最大化させることに、私は違和感を覚えます。せめて、まだ体が動く 50代、 60代のうちに、たくさんの思い出をつくるために使うべきなのではないでしょうか。正直な話、 80歳まで 6億円もとっておいて、一体その人は何に備えているのかと疑問に思います。残りの人生でそのお金を使い切ることは、まず無理でしょう。」
—『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』タザキ著
「前項でも登場した『 DIE WITH ZERO』では、資産のピークを「金額」で決めるのではなく「時期」で決めるべきだと主張しています。その時期とは、健康状態を示す「生物学的年齢」です。健康状態は人により異なるため、資産を減らし始める年齢も異なりますが、おおむね実年齢で 45歳 ~ 60歳からは資産を減らしていくべきとしています。「金額」を目標にしてしまうと、「たとえ何年かかってもその金額を目指すべき」という意味合いが込められてしまいます。人生を楽しむには、お金だけでなく健康と時間も必要です。お金は増えれば増えるほど複利の力でもっと増やしやすくなります。けれども、「時間」は有限です。「健康」も努力して保つことはできますが、基本的にはどんどん衰えていくものです。目標額まであともう少しを貯めるために、リタイアを 5年先に延ばしたとして、それにより年齢を重ねて体力が衰えたら、たとえお金があっても、そのお金を使ってできることが限られてしまいます。つまり、人生の幸福度を上げる機会を逸することになるのです。」
—『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』タザキ著
「 投資というのは、短期的に見れば「マイナスサムゲーム」です。全員の賭け金から、手数料を取る証券会社や運用会社が持ち分を取り、その残りを参加者が取り合うからです。勝つ者もいて負ける者もいますが、全体では手数料分がマイナスになります。これは、 F Xやカジノと同じ原理です。株の「デイトレード」も同じです。短期投資は完全にマイナスサムゲームで、誰かの勝ちは誰かの負けです。唯一絶対に勝つのが、手数料を取る証券会社です。 しかし、同じ株でも「長期投資」になれば話は変わってきます。長期投資になれば、「参加者全員が勝つ」ということがあり得ます。つまり、「プラスサムゲーム」になるのです。それは、投資先の企業が「新たな価値」を生み出してくれているからです。 これらのことからも、余計な資金移動はせず、持ちっぱなしにするほうが良いとわかります。」
—『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』タザキ著
「過去 10回連続で表が出たとしても、 11回目に表が出るか裏が出るかの確率は 50%ずつです。過去の影響をまったく受けないからです。上昇か下降かの博打で、当たる確率は常に 50%になります。参加者が大勢いる中の一人が、偶然に偶然を重ね、何十連勝する可能性もあります。その人は、自分の考えを世の中に発信し、カリスマ投資家などと呼ばれるかもしれません。『ブラック・スワン』でお馴染みのナシーム・ニコラス・タレブ氏は、著書『まぐれ──投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか』の中で、そのような現象には「生存者バイアス」があるとし、運や偶然が投資に与える影響が大きいことを意味しています。つまり、よく言われる「猿のダーツ投げ」のようなものだという話ですね。多くの猿にダーツを投げさせれば、偶然にも的の中心に当てる猿が何匹かいてもおかしくありません。」
—『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』タザキ著
「1697年にオーストラリアで「黒い白鳥」が発見されるまで、人々は白鳥といえばすべて白いものだと信じて疑っていませんでした。白色以外の白鳥を見た経験のある人は誰もおらず、学者たちも白以外の白鳥がいる証拠などないと信じていました。はじめて黒い白鳥が発見されたとき、鳥類学者や専門家は驚いたことでしょう。そしてそのような「ブラック・スワン」は、金融の世界や拡張化された現代のあらゆる場所に発生しうるのです。 ナシーム・ニコラス・タレブ氏の『ブラック・スワン[上][下]』(以降『ブラック・スワン』)によれば、ブラック・スワンとは次のようなものです。 ① 異常であること(過去に予兆はなく、普通に考えられる範囲の外側にあること) ② とても大きな衝撃があること ③ 異常であるにもかかわらず、私たち人間は生まれついての性質で、それが起こってから適当な説明をでっち上げて筋道をつけたり、予測が可能だったことにしてしまったりすること」
—『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』タザキ著
「また人と同じだと安心してしまう「ハーディング効果」も、バブルを加速させます。日本人は特に「人と同じだと安心」というバイアスが強いと言われています。 これらの群れが引き起こす行動によって、多くの人が人気銘柄や流行りに「自分も勝ち馬に乗りたい」と考え飛びついてしまいます。駆け込み乗車したくなる気持ちは仕方のないことですが、バブルの特徴が当てはまる場合は慎重な判断を下さなければなりません。」
—『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』タザキ著
「そう考えると、「自分はどんな投資をすべきなのか?」を突き詰めた結果、投資計画が人生計画そのものになってくるのも当然かもしれません。お金の問題は、人生のあらゆる場面に関係し、大きな影響を及ぼします。 そして話を良い意味でやっかいにしてしまう理由は、投資をすると人生の選択肢がとてつもなく広がる可能性があるということです。今まで諦めていた夢や、想像もしていなかったようなことにも、手が届く可能性が出てくるのです。」
—『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』タザキ著
「こんなに「お金、お金」と言っていますが、それは、言ってしまえば、お金のことを気にしないためです。お金よりも大事なことにきちんと向き合うために、お金の勉強をして、投資の計画を立てているのです。 挑戦したいことがあるのに、子どもの夢を応援してあげたいのに、妻を連れて行きたい場所があるのに、潜在意識の底で「お金」がメンタルブロックになって可能性を捨ててしまうことが、私は嫌なのです。」
—『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』タザキ著