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ユーザーレビュー

  • 枢密院 近代日本の「奥の院」

    Posted by ブクログ

    枢密院。帝国憲法下にそんな名前の組織があることは聞いたことくらいはあるが、衆議院・貴族院、内閣・各省、裁判所といった現在に連なる三権の機関ではないために、何のためにどのような役割を果たした機関なのか、という点がイマイチピンとこない組織だった。

    本書は、枢密院の成り立ちから閉庁までのおよそ60年間の歴史を扱う。

    まず、成り立ちとして、伊藤博文の思いつきに端を発しているが、新たに国会を開設するにあたり、議会と政府の衝突を裁定する天皇の諮詢機関にしようというのがオリジナルのアイデアだったが、井上毅が両者の対立を最上裁判所が判定を下す(陛下の責任問題にもなる)のでは無く、可能な限り両者は協調すべし

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    2023年06月03日
  • 枢密院 近代日本の「奥の院」

    Posted by ブクログ

    明治憲法下で天皇の最高諮問機関だった枢密院の創設から廃庁までの軌跡をたどり、その全体像を検証する。
    枢密院という観点から日本近代政治史を振り返ることで、その理解が深まった。
    牽制均衡の機関として政治に慎重を加えるという発案者の伊藤博文の意図は理解できるが、枢密院はやはり中途半端で矛盾を孕んだ機関だったと言わざるを得ない。
    ただ、戦時中の枢密院の審議では当時の衆議院以上に批判や懸念の意見が出され、戦時体制と戦争の遂行に最も批判的な国家機関だったというのは、ちょっと意外であり、政治から一定切り離された専門家から成る独立機関の可能性も感じた。

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    2022年10月31日
  • 枢密院 近代日本の「奥の院」

    Posted by ブクログ

    「奥の院」と聞けば寺社の奥まった聖域を思い浮かべるが政治にも「奥の院」がある。明治から昭和初期にかけて表舞台とは別に国家の命運を左右したのが枢密院だった。天皇の諮問機関として政体の裏で黙して語らず動いた長老たち。彼らの判断が時に戦争と平和の分かれ道となった。そんな彼らの言葉と沈黙を丹念に掘り起こす。歴史の表に出ぬ意思決定の構造に今も多くの反省と学ぶべきことがある。静かなる権力の重みを重々に心したい。

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    2025年04月13日

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