年金給付額も、豚肉の生産量も、アルゼンチンとの貿易収支も、各市の人口も、みんなわかっちゃう。
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92年・77版にわたり刊行してきた資料集だ。
思えば学生時代、教科書類の中で、社会科資料集が圧倒的に長い時間開いていた本だった。
けれど、すっかりそんなことは忘れているわけで。本書を見て思
...続きを読むい出した。
オーストラリアからの輸入は石炭が多いとか、綿花の輸入先一番はアメリカ合衆国だとか。
みかんの生産量、一位は和歌山、二位は愛媛、三位は熊本…あれ? 静岡じゃないのか。
当然、統計は変化するのだ。
最高気温。三位までがすべて2018年。暑かったもんね。
こういう、政府統計とか理科年表にありそうなものばかりではない。
小売業売上高と経常利益。イオンとかセブン&アイとかヤマダ電機とか、そんなところの情報も載っている。
インターネットサービスの利用者数。
平均月間利用者の一位は、Yahoo! Japan。GoogleでもLINEでもないのだ。できる〇〇とかいう本などに、「Yahoo!をホームページに設定してみよう」とか書いてあるから、なのか?
文庫と新書の新刊出版点数。これは2010〜15年をピークに落ちてきてはいるが、それでも1990年とくらべて、2017年は文庫も新書も圧倒的に多く出版されている。
書店数。ご存知の通り激減である。激減ではあるが、売り場面積は減っていない、つまり大型店ばかりになってきた、ということがわかる。知ってたけども、こうみると辛いものがあるなあ…。
いわゆる、著者の思考を追う読書とはまったく違うが、違った読み応えがある。すでに何点か、ああそうだったのか、という情報に出会えた。
あるときは貿易不均衡に憂い、あるときはいじめの認知件数に憂う。そしてまたあるときは、がん死亡者数の増加に憂う。
あれ、憂いてばかりだ。
でも、そういう感情こそが、何かを変えようという原動力になるんじゃないかなあ。統計不正はいけないが、統計を読む側には、自由な誤読も許されている。とても覚えきれるものではないから、楽しんで何度も読もう。