矢野恒太記念会の一覧
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ユーザーレビュー
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各都道府県の地図が掲載されている。地図によってデータ異常の実感を得られる。福井県は敦賀市の辺りで狭まっている(49頁)。福井県を単一の領域とすることは不自然に思えるほどである。実際のところ、令制国では福井県は若狭と越前で分かれている。都道府県は明治以降の歴史しかない。日本の歴史を考えると令制国の時代
...続きを読むの方が長い。逆に都道府県単位で考えることの固定観念を感じることができた。
都道府県の地図では市町村の区域が描かれている。不自然に巨大な市が散見される。県を横断する形で一つの市があることがある。村の面積が広いことは理解できる。山がちで人口が乏しい場所なのだろう。しかし、都市を意味する市が巨大なことは気持ち悪い。合併のし過ぎで基礎自治体らしさがなくなっている。
北海道は四国四県合わせたよりも人口が多い。面積も広い。各種統計でも北海道は四国四県よりも存在感がある。しかし、それは北海道民にとって幸せと言えるだろうか。北海道として一つにまとまると中心の札幌に一極集中し、各地に手が回らなくなるのではないか。四国のように四県に分散し、中心がない方がバランスのある発展になるのではないか。
近年で生活を最も大きく変えたものは新型コロナウイルス感染症(COVID-19; coronavirus disease 2019)のパンデミックである。本書のコラムは収束トーンで書かれている(26頁)。本書執筆時点では楽観ムードがあっただろうが、その後に第8波が到来している。東京都の2022年12月14日の新規感染者数は1万8812人、埼玉県は1万684人である。感染者数は一時期減少しても、また増える。
コロナ禍にも良い面がある。その一つはテレワークの普及がある。場所の制約なく、仕事ができるようになった。人間関係や対面コミュニケーションよりもアウトプットで評価されやすくなる。テレワーク率は首都圏が高く、地方が低い(60頁)。テレワークが普及すれば地方に住んでも問題ないとなりそうである。実際、テレワークの浸透で東京の人口は減少している(120頁)。地域差は将来的にはなくなっていくだろう。
コロナ禍で過剰債務を抱える企業が出ている。実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)は2021年4月時点で約56兆円にもなり、返済の見通しの立たない企業も多い(270頁)。金が回っていることが経済発展という昭和の経済感覚から脱却した方が良い。
Posted by ブクログ
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都道府県別の統計書である。ミーハーの関心は都道府県魅力度ランキングのようなランキング形式にすればもっと集められそうであるが、あくまで正統派の統計書である。
Posted by ブクログ
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日本経済や社会のデータを収集した統計書である。最新の社会・経済統計をもとに現状を表やグラフで明らかにしたデータブックである。日本をテーマにした統計書であるが、要所要所には世界シェアの表が掲載されている。世界から離れて日本だけで語れないグローバルな実態を物語る。毎年刊行されている書籍で、本書が第80版
...続きを読むになる。
ロシアのウクライナ侵攻という現在進行形の出来事も反映している。そのウクライナ侵攻が一つの原因になって小麦が値上がりしている。ウクライナは世界有数の穀倉地帯であるためである。実は輸入小麦は政府が買い付けている。「麦類の輸入も米と同様に政府が一元で買い付ける国家貿易であり、政府が製粉会社に売却しているが、2022年4月から売り渡し価格が大幅に引き上げられている」(148頁)。
小麦の値上げの直接の原因は政府の売り渡し価格が引き上げられたことである。政府が介在する本来の目的は価格の安定のためであるが、政府の介在のお陰で値上げを抑えられていると言えるだろうか。仕入れ値が上がったから売り渡し価格も上げるというコストカット努力をしない公務員商法をしていないだろうか。民間企業の方が公務員よりも上手にやれるのではないか。
日本国勢図会の統計データは政府の統計に基づくものが多い。ところが、国土交通省の建設工事受注動態統計はデータの合算や二重計上という不正が行われていた。しかも、「省内で不正処理が認識されていたにもかかわらず、放置されていた」(256頁)。これによって実際よりも受注を多く見せていた。統計を見た人は実際よりも景気が良いと誤った認識を有してしまう。公務員の点数稼ぎ体質が数字を良く見せようとして統計不正を起こす。
統計不正は厚生労働省でも起きている。厚生労働省の統計は新型コロナウイルスのワクチン接種に意味があるように誤った認識を与えるものであった。厚労省は新型コロナ新規陽性者についてワクチン接種歴で分けて集計している。ところが、厚労省はワクチン接種不明者を未接種にカウントしていた。その結果、ワクチン未接種者の新型コロナ感染が実態よりも多いように見えてしまう。
しかし、正しい情報で集計すると、2回接種者の感染予防効果がマイナスに転じるデータになった(「厚労省データ 心筋炎リスク情報も不適格~新型コロナワクチン未接種扱い問題だけじゃない!2つの不適格データ問題を独自検証~」サンテレビ2022年6月7日)。統計の面でも公務員に任せることは信頼性に欠ける。
Posted by ブクログ
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社会科の資料集を思い出すなぁ
結構眺めてると楽しいんですよね
思わぬ国が思わぬ分野で活躍していたり
ぱらぱらめくるだけで
新しい発見があります
まとめて読むというよりも
こういっては何ですが
お風呂とかトイレに置いておきたい本
Posted by ブクログ
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年金給付額も、豚肉の生産量も、アルゼンチンとの貿易収支も、各市の人口も、みんなわかっちゃう。
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92年・77版にわたり刊行してきた資料集だ。
思えば学生時代、教科書類の中で、社会科資料集が圧倒的に長い時間開いていた本だった。
けれど、すっかりそんなことは忘れているわけで。本書を見て思
...続きを読むい出した。
オーストラリアからの輸入は石炭が多いとか、綿花の輸入先一番はアメリカ合衆国だとか。
みかんの生産量、一位は和歌山、二位は愛媛、三位は熊本…あれ? 静岡じゃないのか。
当然、統計は変化するのだ。
最高気温。三位までがすべて2018年。暑かったもんね。
こういう、政府統計とか理科年表にありそうなものばかりではない。
小売業売上高と経常利益。イオンとかセブン&アイとかヤマダ電機とか、そんなところの情報も載っている。
インターネットサービスの利用者数。
平均月間利用者の一位は、Yahoo! Japan。GoogleでもLINEでもないのだ。できる〇〇とかいう本などに、「Yahoo!をホームページに設定してみよう」とか書いてあるから、なのか?
文庫と新書の新刊出版点数。これは2010〜15年をピークに落ちてきてはいるが、それでも1990年とくらべて、2017年は文庫も新書も圧倒的に多く出版されている。
書店数。ご存知の通り激減である。激減ではあるが、売り場面積は減っていない、つまり大型店ばかりになってきた、ということがわかる。知ってたけども、こうみると辛いものがあるなあ…。
いわゆる、著者の思考を追う読書とはまったく違うが、違った読み応えがある。すでに何点か、ああそうだったのか、という情報に出会えた。
あるときは貿易不均衡に憂い、あるときはいじめの認知件数に憂う。そしてまたあるときは、がん死亡者数の増加に憂う。
あれ、憂いてばかりだ。
でも、そういう感情こそが、何かを変えようという原動力になるんじゃないかなあ。統計不正はいけないが、統計を読む側には、自由な誤読も許されている。とても覚えきれるものではないから、楽しんで何度も読もう。
Posted by ブクログ
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