1965年の団地調査から、当時の住民の実態を明らかにしていく本。団地の特性が総中流化や性的役割の固定化を引き起こす要因の一つになった。
団地は戦後の日本に良質な住宅を供給するために建てられた。特に対象となったのは財産の少ない子育て世代。それを実現するために、規格化された住宅を大量に建造することにな
...続きを読むる。団地を建てられるような土地は限りがあるため、団地は駅前から離れた場所に作れるようになる。これが均質化と男女の役割分担を進めさせた。
駅から遠いことで通勤時間が伸びるため、子育てしながら働くのには向かなくなる。また、入居者は核家族であることから、祖父母のサポートは受けられにくい。そのため母親は専業主婦となり、父親は長距離通勤で労働に専念する形となるわけだ。
住宅政策によって、性的役割の固定化が進む。このような当初意図していなかった方向に影響が出る話は、プチ地政学みたいで読んでいて面白い。