宮本弘曉の作品一覧
「宮本弘曉」の「51のデータが明かす日本経済の構造 物価高・低賃金の根本原因」「日本の財政政策効果 高齢化・労働市場・ジェンダー平等」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
世界経済を取り巻く3つのメガトレンドの変化(①人口構造の変化②地球温暖化対策によるグリーン化③テクノロジーの進化)を日本がいろいろな分野でどう捉え、どうすれば経済再生に結びつけられるかについて解説する。
日本は、世界で最も高齢化が進み、経済や雇用のシステムは旧態依然、労働市場も硬直的なままで課題が山積している。
本書はメガトレンドが影響を及ぼす7つの分野(経済成長、財政、医療・健康、農業・食料、教育、エネルギー、地方・住宅問題)ごとに日本の現状と課題、対処のしかたを論じている。
どちらかというと、現状を憂えるスタンスから書かれており、大風呂敷を広げ大胆な提案をする内容ではない。また、論点は新聞や他の書物で既に述べられているものが多い。一方で、知識の整理や再認識ができる堅実なコンテンツが詰まった本といえる。
Posted by ブクログ
物価や賃金、インフレ、デフレ、スタグフレーション、労働生産性、経済をとりまくさまざまな用語くらいは知っているが、明確に説明できるかというと、うわっつらの説明暗いが精いっぱいだろう。それらをつなげてストーリー的に解説してくれていて、わかりやすかった。
日本の生産性の低さについては、問われているところ。
でも日本って、電車は世界でも珍しいくらい正確に運行されているし、いろいろ優れた面はある。なのに、そこまで否定される?という疑問に対して、高いサービスに対して、高い代価を求めることを怠ってきた、と指摘する。
実際、日本の業務のサービスについて、もう少し高い代価を支払ってもいいというアンケート結果もあるくらいだとか。
足りないのは、それだけの対価を払ってもらう努力。どうやったら高いお金を払ってもいいと思ってもらえるのかという試行錯誤がなかったということか。
いろいろ考える材料をもらえる本だった。
Posted by ブクログ
最近買い物していると、思いもよらないものが値上げしていたり、飲み物の缶やペットボトルがやけに小さくなったなと、物価上昇を肌で感じることが多い。そう言えば自分の給料明細の金額は全く変わっていないし、業績に応じて支給される一時金の額は、入社当時と比べると寸志の様に感じる。長く在籍する社員同士でむかしを懐かしみ、賞与額がまるで入社時の金額に戻ったね、と内心大きな落胆を感じながらも笑いながら話している中堅社員は多い。
本書は日本社会を指して頻繁に言われるバブル後の「失われた30年」について、諸外国との差を明らかにし、かつこれからの日本がどうあるべきかを数字を中心に解説・課題提起していく。
戦後成長著しい日本は一時期は経済的に世界のトップにまで君臨したが、現在は散々たる状況だ。勿論中国やインド、インドネシアなどの人口の多い国々の台頭もあるが、G7の様な元々が先進国の中に於いても相対的な位置付けの低下が見られる。日本単独で見れば経済成長が止まっているわけでは無いが、諸外国の成長率などの指標と比べると上昇率の差は明確だ。本書は対極的な国家の経済を測る指標としてのGDPだけでなく、我々労働者に身近な可処分所得や給与に着目する。給料については前述した様に、明らかに手取りは変わらず、寧ろ肌で感じられるほどの減少にも直面している。一方、ウクライナ戦争や新型コロナで世界的にコストプッシュ型の物価上昇が続いており日本もインフレ目標2%を上回る物価高の状況だから、より一層買える力が低下している。事実、労働人口における給与所得額は既に韓国にも追い抜かれ、当然ながらG7内では最低だ。
以前から指摘される日本人の労働生産性の低さについても数値指標を用いて具体的に解説されているのが分かりやすい。日常的にニュースで聞く内容を数値を用いて頭の中を整理するには好都合だ。
本書後半はその様な状況にある我が国が今後どうあるべきか国家的課題として提起している。
要因としては4つのキーワードを挙げる。人口構造変化については、高齢化の進展を長寿化として捉える必要性(老後3000万どころでは無く、もはや7000万以上必要)、AI、ビッグデータ、IoTに代表されるテクノロジーの進歩、そして近年特に注目されるグリーン化、最後にグローバル化だ。グローバル化については「脱」の動きがないわけではないが、実質的な世界の潮流としては方向性は変わらない。こうした4つの潮流に対して、我が国の政治や規制、制度状況の問題点を踏まえたうえで、どうしていくべきか。本書後半は前半戦の数字が頭に入った状態で一気に明快に解を紐解いていく。
仕事柄、私もジョブ型雇用に着目し独学ではあるものの研究している。その中で自身のキャリアについての展望が無い社会人の多さを感じる。何になりたくて何をするか、この当たり前が無い。筆者が言う通り、海外からの労働者受け入れなどで労働環境が変わったら、なんとなく過ごしている日本人の雇用は果たしてどうなってしまうのか、周りの社員を見ていても不安は大きい。そもそも終身雇用で社内異動ばかりの日本企業が、憧れを持って海外の優秀人材が目指すかは疑問が多い。
本書はただ単に問題提起を繰り返すのでは無く、日本に合った解決策を幾つも提示してくれる。長寿化社会、小規模農地中心の農業、世界に類を見ない日本だけの文化、そして現行教育制度や労働者の流通環境、それら全てをビジネスチャンス、変化するチャンスと捉えて、前向きに建設的に論じていく。読み終わった読者が感じるのは「まだまだ捨てたもんじゃないな」という勇気とやる気ではないだろうか。
テクノロジーで産業構造を変化させ、それに見合うスキルを持つ人間が流動的に社会を移動し、歳を重ねても知識・経験を発揮できる。農業を社会農業化する事は食料自給率の改善にも繋がるし、何より観光としても楽しめる。なんだ、まだまだ楽しい事は沢山あるじゃないか。まずはそれに気付く人材を新しい教育手法で沢山育てる必要がある事は言うまでもない。