Part1 新しいマーケティングの兆し
■これからのブランドに必要な3つの変化
①WHAT TO SAY 何を言うか →WHAT TO DO 何をするか
②NO1 差別・比較 →ONLY1 独自・唯一無二
③SOSIAL GOOD 社会にいいこと →OUR GOOD 私たちにいいこと
■新しいマー
...続きを読むケティングの兆し
①マーケットやターゲットといった「整理分解型」の発想をやめること
②みんなにとって新しいではなく「私らしく嬉しい」を作ること
③「投資者」として捉えて、オープンに透明に向き合うこと
④カテゴリ内で競わず、「欲しい!」の総量を増やす仕掛けをすること
⑤アズ・ア・サービス=ブランド独自の体験を作ることだと理解すること
■まとめ
・スペックで競争するマーケティングは限界を迎えつつあり、キャッチアップ型の戦略ではブレイクスルーできないケースが増えている。
・新型コロナウイルスを経て、これからのブランドには「生活者への存在意義を明快にして、具体的な行動で実現していくこと」が求められるようになる。
・マーケットやターゲットを「区分」せずに、生活者の「気持ち」に向き合う発想を持つ。「私にとって嬉しい暮らし」のために「投資してくれる一人ひとり」のために、ブランドとしてどんな行動ができるか考える。
・「自分たちの商品が欲しい人」ではなく、「まだ自分たちの商品が欲しくない人」に何ができるか、カテゴリ内で競うのではなく、ラーニング・ピラミッドを参考に、深く広くブランドの体験として実現する必要がある。
Part2 パーパスを掲げる
・パーパスで陥りがちな「正しいけど面白くない」「で、どうするの?」を避けるために、想像力と遊び心を追求するジョブ・モーメントも大事にする。
■「いいね!の法則」で
…突然ですが、みなさんに小さい子どもがいたとします。ある日、将来の夢を聞いてみました。
「たっくん(私の小さいときの呼び名です)、将来の夢は?」
"普通のたっくん"はこう答えました。
「宇宙飛行士になりたい!」
両親はニコニコと満足げ…のはずです。
一方、"パーパス坊やのたっくん"はこう答えました。
「宇宙飛行士になって、パパとママと一緒に宇宙に行く!」両親は感激です。この違いはなんでしょうか。
ひとつは「巻き込み力」です。自分の夢と両親の体験をセットにすることで、"一気に仲間"にしてしまいました。
もうひとつは、いいことの明示です。たっくんが宇宙飛行士になると何がいいのか?ということが明快に示されています。両親も一緒に宇宙に行けるようです。
パーパスはIでもYOUでもTHEYでもなく、WEであると言われますが、要は聞いた人から「いいね!」が集まりそうか。社会からの共感・賛同・応援が多く集まるものこそが、いいパーパスなのだと思います。
■イシューハンティングの5つのステップと例
①社会を捉えるテーマ・切り口
(対人関係/コミュニケーション)
②今の社会生活の希望絶望
(コミュカというモノサシでコミュニケーションに優劣を付けられること)
③なぜそう思っているのか
(誰かのモノサシで自分のコミュニケーションを判断されると居心地が悪いから)
④どうしたら(もっと)よくなると思うか
(「●●力」ではなくそれぞれの心地よさを追求する)
⑤そのために何をするべきだと思うか
(尺度を「上手い下手」ではなく「気持ちいい/悪い」にする)
■いいパーパスのための「5つのチェックポイント」
①社会に対して「具体的に」志を表明できているか
②ブランドらしい個性を忘れてないか
③「便利」ではなく「嬉しい」を目指しているか
④ブランドの「新しいパートナー」が思い浮かぶか
⑤カテゴリを超える「新しいアクション」が思い浮かぶか
■まとめ
・PJMメソッドは「3C分析」を逆転させて作った、ブランド・競合・生活者を捉える視点をアップデートできる、マーケティング/ブランディングのメソッドである。広告だけでなく、ブランド体験すべてを設計するためのもの。
・P=パーパスは、ブランドの「存在意義・志」のこと。ブランドがなぜ存在しているのか、どんないいことを増やせるのか、何を愛するリーダーなのかを具体的に規定する。
・無理に意識の高いことを言ったり、それっぽいことを決めたりすることではなく、「本気で取り組めること」を宣言するという覚悟が必要(過負荷×いいね!)。
・パーパスは「ブランドを代表するファクト・ストーリー(I・YOU・HERO)」と「作り出したい理想の社会・解決したい社会課題(イシューハンティング)」を組み合わせて、ポジショントークができるものを目指す。
・完成したパーパスは5つの視点(具体性・DNA・嬉しさ・パートナー・アクション)でチェックする。特に、新しいパートナーやカテゴリ外の取り組みが想像できるかが重要。
Part3 ジョブを見抜く
■ジョブとニーズのシンプルな違い
・ジョブ=気持ちの想起
・ニーズ=打ち手の想起
■スマホのホーム画面はジョブの集合体
■4つの「ジョブ深堀りシート」
①「ぶっちゃけ●●」「言いにくいけど●●」
②「と考えると安い」「その視点だとオトク」
③頑ななノンユーザーの「だって●●だもん」
④風が吹けば桶屋が儲かる「連想ゲーム」
■まとめ
・J=ジョブは、生活者がブランドにお金や時間や気持ちを投資してくれる「本当の理由」であり、そのブランドで生活者が満たしたい「本当の欲求」のこと。ニーズが「打ち手の想起」だとしたら、ジョブは「気持ちの想起」。
・まずは、マズローのピラミッドに沿って、生理的/安全/帰属/承認/自己実現/自己超越のジョブを探す。具体的なターゲットやオケージョンごとにも考える。
・その後、4つの穴埋め(ぶっちゃけ/発想の転換/足かせ/風が吹けば桶屋が儲かる)で、「実はこういうジョブも満たせるはず」というリアルな可能性を探す。
・洗い出したジョブに対して、フレネミー(パートナーにも競争相手にもなる新しい"競合")を検討していく。今の理由だけでなく、将来はこうなるという洞察も重要(サロンと加工アプリの例)。
・最終的に、ジョブは「4象限型」(マッピング)か「ジャーニー型」で整理する。その際、バーバスとの親和性や市場調査を通じたボリュームで取捨選択をすることもある。
Part4 M:モーメントを絞る
■まとめ
・M=モーメントは、ブランドが最も魅力的に見える場面、生活者に選んでもらえる場面で、パーパスやジョブが具体化している"あるある"な瞬間。生活者との接着面。
・モーメントには、ユーザーの気分や想いを示す内的な「ユーザーモーメント(感情)」と、記念日や習慣、世論などを示す外的な「ソーシャルモーメント(環境)」がある。
・モーメントの探索では、PとJのワークからキーワードを決めて、TwitterやInstagramなどのソーシャルメディアを活用する。
・「最高/最低」「好き/嫌い」など、生活者の喜怒哀楽が極端に上と下に振れている2ndクエリと検索をすることで、よりリアルなモーメントが見つかる。
・モーメントは複数を組み合わせて強くした上で、分かりやすく言い切ることが重要。マップ化をして管理すると分かりやすくなる。また、日々増えていくものだと認識しておく。
Part5 理想の顧客体験を描く
■PJMメソッドのタスク総まとめ
【Pパーパス(ブランド)】
①「ブランドを代表するファクト・ストーリー」を決める
②「作り出したい理想の社会・解決したい社会課題」を描く
③①②を組み合わせてパーパスを規定する
④5つの視点でパーパスを磨く
【Jジョブ(競合)】
⑤「6段階のピラミッド」でジョブを考える(ターゲット/オケージョン別も)
⑥「4つの穴埋めシート」でジョブを考える
⑦ジョブごとにフレネミーと向き合い方を考える
⑧ジョブを整理する(4象限型とジャーニー型)
【Mモーメント(生活者)】
⑨ソーシャルメディアからモーメントを探す
⑩「2ndクエリ」でモーメントをリアルにする
⑪モーメントを取捨選択してキーワードとして仕上げる
⑫モーメントマップとして整理する
【UX顧客体験】
⑬PJMの2ラウンド目をする
(未来洞察/アナロガス/エスノ/ロープレ)
⑭「まとめシート」を記入して顧客体験コンセプトを開発する
⑮「妄想リリース」でアクションを考えて「ブレイブック」にまとめる
■まとめ
・PJMの2周目として「バックキャスト」「アナロガス」「エスノグラフィ/ロールブレイング」などに取り組むと、それぞれの発見がより洗練されて、強くなる。
・パーパス、ジョブ、モーメントが仕上がったら、「どんな顧客体験を作っていくべきか」のUXコンセプトを開発して、1枚のシートに落とし込む。
・この段階で、「ブランドが持つ解決すべき課題」「定量的/定性的ゴール」も加味することで、ビジネスインパクトを担保し、実現する顧客体験のリアリティを高める。
・「スーパー頭でっかち」にならないように、PJMの先にあるBraveMoves(勇敢な行動)を考える。思いつかない場合は、「妄想リリース」というワークをやってみる。
・アクションは、「重要性」と「実現可能性」で絞り込み、最終的には、どんな志で、いつまでに、何をするかを「PJMプレイブック」という形でまとめる。
Part6 15のケースで知るPJMメソッド
・失恋したとき、商談に失敗したとき、始末書を書かされたとき、家にゴキブリが出たときなど、日々潜む厄モーメントは100個では収まりませんでした。…辛い日々です。
・数年前から話題の「ワンオペ育児/家事」を背景に、本当は育児/家事に積極参加したいけど、知識や能力の差から参加できていないパパもいること、彼らは悪気ばかりがあるわけじゃなく、喜ばせたいというジョブに着目しました。
それが最大化するであろう「後ろめたさ」を感じる瞬間をフック
■PJMメソッドの実践のために重要な5つのポイント
①パーパスは「上位概念シフトの妙」が重要
②ジョブは「広義のジョブ」も探すと◎
③ジョブ・モーメントは「タブー」が気も
④フレネミーは「オトクさ」が大事
⑤困ったときは順不同で考える
Part7 DXを加速させるPJMメソッド
■怠惰化
「何もしたくない生活者をどう楽にしてあげられるか」
■わがまま化
「みんな同じから私専用へ」
■健全化
「自己貢献・社会貢献の実感を持ってもらうか」
■まとめ
・DXとは「デジタルの力で人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」こと=転換で、手法をデジタルに単純に置換すること(デジタイズやデジタライズ)とは異なる。
・ブランドがどのようにDXを加速させるのかの決め手になるのがパーパス。
業務効率化におけるデジタル活用と異なり、DXはベストプラクティスの研究だけでは不十分。何を志してDXに取り組むかが肝になる。
・パーパスを体現するためのDXのキーワードは「BrandReborn(ブランドリボーン)」。今D2Cブランドとして生まれ変わるとしたらどうなるのか?を考えると、自ずとDX実現後の姿が描ける。
・DXを通じて目指す顧客体験は「怠惰化」「わがまま化」「健全化」。生活者にとってより簡単に、よりパーソナルに、より心身ともにヘルシーにできる体験が重要。
・DXにも、PJMメソッドが役に立つ。パーパスは、私たちは何のためにDXするのかということ。ジョブやモーメントは生活者の欲求にデジタルを駆使してどう応えるのかということ。