スピルバーグのリメイク版を、友人とその10歳のお嬢ちゃんと見に行くことになり、参考にとオリジナルのDVDを貸してあげたら、「とりこになって何十回も見てるのよ、映画館で見たのよりこっちがいいって」。
というわけで不滅の『ウエストサイド物語』のベルナルドことリチャード・チャキリスの自伝…これ映画や舞台が
...続きを読む好きな人は一気読み必至。
家族愛豊かに成長した子供時代から、いかに俳優を志し努力を積み、花開いて世界のスターとなったか。飾らず常に感謝を込めて語られる一人称の思い出には、綺羅星の如きスターたちが大挙登場してその素顔を垣間見せてくれる。
サウンドステージに忍び込んで見たオードリー、ほのかに憧れたデートリッヒ、撮影への準備不足を叱咤してくれたリチャード・ウィドマーク、アステアと踊る共演をしたときの興奮…バルドー、ドヌーブ、ユル・ブリンナー、シナトラ…そしてもちろん何より何より、“ジェリー”…ジェローム・ロビンスをそう呼べる人は多くないよ…の逸話はじめ、『ウエストサイド物語』を撮影しているときの逸話の数々に感動する。
あと日本で舞台に出演するにあたり小森のオバチャマが最大の相談役だったこととか、まるで知らないエピソードもたくさん。
チャキリスは、ギリシャ系で、ロンドンでの『ウエスト〜』舞台では、実はずっとリフを演じていたのね!
19歳でダンススクールに入ってから、ただの一日も基礎レッスンクラスを欠かしたことがないのですって。
「わたしたちダンサーは、ただステップを踏むだけではなく、そのステップが持つ意味、体の動きが持つ意味を表現せねばならないのです」。趣味で踊りをするものとして、心に刻みたい言葉だ。
1932年という時代生まれの人のこととて、美談調に仕上がっており、赤裸々な裏話や生の心の動きなどは明かされないのだが、映画黄金期の輝ける星による夢物語に酔いしれたひとときでした。
戸田奈津子さんが訳してくださったことに感謝!