むちゃくちゃ面白くて勉強になった。
陳独秀がトップの頃の超初期の共産党のおさらいからモスクワとの距離感の変遷、
初期は「革新的な価値観を提案してくれるもの」として新派の若者たちからみられていたこと、
遵义会议で毛沢東の指導的立場が確立したこと、
共産党が国民党に勝てた理由は徹底した上位下達型の組織
...続きを読むの強さ(蒋介石もそう認めてる)、
抗日戦争と対国民党との戦いの三つ巴感と抗日戦争が人民共和国成立に果たした歴史的役割、
共産党が組織として国民党よりずっと強かった理由
反右派闘争、大躍進運動、天安門事件それぞれの中身のおさらいと当時の指導者のメンタリティ(前2つは毛沢東の権力維持バランス調整のため、最後は共産党の統治に綻びが出ることで社会主義体勢が揺らぐことへの恐怖感)、
天安門事件がもたらした社会の混乱によって、農村では計画経済が事実上放棄され闇市場が形成されるなどして、実はその後の改革開放の種を蒔いていたこと、
「プロレタリアートの階級独裁政党」→「愛国者の党」への党の質的変化(2001年にプロレタリアート以外も入党資格ありと明文化&自らの歴史的役割を「中国の屈辱的な外交の歴史を終わらせた」ことだと強調)、
などなど学ぶことが大量にあった。しかも面白くて読みやすい。まじで面白かった。
P356「このような姿勢から導き出されるであろう中国の答えは、「もうたくさんだ、今後はこちらは こちらのやり方でやらせてもらう」というものである。かりにアヘン戦争以来の西洋文明スタン ダードへの異議申し立てにこだわり、それとは別のスタンダードをたちあげ、世界にアピールし ようとするならば、それはそれで長い歴史と伝統を誇る中国の、あるいは東洋の文明の復権へと つながるかもしれない。
望むらくは、そのさいに、世界二位となったおのれのパワーの使い方を 誤らぬことを。そう、まさに今から百年ほど前、「文明」の西洋列強に伍すべく富国強兵につと めながら、それに成功するや一転して脅威として排斥・警戒された国があったではないか。西洋 文明への屈折した反発をエネルギーに変え、西洋近代の超克を唱えたその国が、やがて何をし、 最後にはどうなったか、中国は十分すぎるほど知っているはずである。」
おわりにのこの部分、涙が出そうなくらい同意する。望むらくは。
あと、鄧小平はなぜ自らは最高権力者にならなかったのかとても不思議に思った。