熊倉潤の作品一覧
「熊倉潤」の「新疆ウイグル自治区 中国共産党支配の70年」「台湾有事と中国包囲網」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
ウイグルの近現代史を通史として書いている。序章では紀元前から1949年までを駆け足で、そこからは現在に至るまでの中国とウイグルの関係を書いている。
ウイグルと聞いて、どこまで具体的にイメージできるかむずかしいのではないだろうか。これは日本に限らず、欧米諸国でも同様かと思われる。それは単に、学校で世界史を習ってもほとんど扱われていないことも関係しているだろうし、情報統制の激しい中国の一部であることも関係しているだろう。
ウイグルへの知識が薄いため、職業訓練施設に代表される拷問や思想改造などの過激な情報が出回ると、それだけでイメージが固定されてしまうし、反中的な意識だけが先走ってしまう。ただ、それがあながち間違いでもないのがしんどいところだが。
ウイグルの問題は、国内においては中国とウイグルの関係、国外においては中国と欧米(冷戦時代はソ連)の関係のふたつの軸がある。
中国と欧米は各々の論理で反発しあう。これはわかりやすいだろう。ただ、中国とウイグルが単純な敵対関係にあるというのはむずかしい。中国の支配下に置かれることで益を得るウイグル人もいたし、一時的には中国による解放を歓迎されるときもあった。
この関係は、日本の歴史でいえば沖縄との関係がイメージしやすい。琉球は近現代まで日本ではないし、日本の一部とされた過程にも問題がないと主張するのは無理筋だろう。
そして、沖縄は戦後においてはアメリカとの関係においても極めてむずかしい立場に置かれている。それに対する反発は永遠と続けられるデモを見ればわかる。しかし、その一方で現代の沖縄にいる市民の多くが日本に対して(本土に対して)反発を覚えているかといえば、それはそれで無理筋である。
もちろん沖縄とウイグルは違う。収容施設などないし、拷問や思想改造が行われたわけでもない。デモができる程度には発言も許されている。
しかし日本と沖縄、中国とウイグルは、やはり国内における国外という歴史的な関係において似ているのだ。ちなみに、中国の漢人らは観光旅行でウイグルに行くらしい。国内で手軽に異国情緒が楽しめるからだ。
著者があとがきで、ウイグルの通史を書いたものがないということを言っている。たしかに、自分が調べたかぎりでもウイグル関連の書籍というのは数少ない。海外ではどうかといえば、それもやはり少ない。そして問題は、ウイグル人当事者からの言葉というのはそれより少なそうということである。たとえば、本書で幾度となくラビア・カーディルの自伝が参照される。つまり参照できる文献自体が少ないのだ。
そのような意味で、本書はとても価値があると思われる。他にない以上、本書を参考にするしかない。
Posted by ブクログ
何かと敏感な地域。文章表現にだいぶ気を使いつつ、中立で冷静な立場であろうとする著者の姿勢があちこちに伺える。これまでの歴史の流れがよくわかった。
・紀元前2000年頃にコーカソイド系の人々が西からやってきた
・タリム盆地周辺のオアシスでは、天山山脈などからの雪解け水を利用した農業者が発達。クチャ、カシュガル、ヤルカンド、ホタンなどのオアシス都市が漢人進出前から成立していた。
・漢人の進出は紀元前二世紀の前漢の武帝の時代頃。敦煌より西は西域と呼ばれた。
・10世紀頃にイスラーム化がはじまった。
・中華民国成立後はロシアの影がちらつく。
・習近平の父の習仲勲は新疆分局の上部組織である中共中央西北局の第二書記で、意外にもウイグル族との融和的政策をとっていた。
・親戚制度とは、漢人の公務員が現地ムスリムの各家庭に割り当てられる制度。
・職業技能訓練センターには、思想改造や強制収容の話もある。
・産児制限、綿畑への動員、先端技術による監視が行われている。
・新疆生産建設兵団は漢人主体で構成される組織で、平時は農業、有事には軍を部隊となる。
・自治区の人口は約2500万人。約3割が漢民族。ウイグル、カザフ、ほか少数民族などで構成される。