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4.3「まず基本を身につけよう」この言葉に呪縛されて、どれだけ多くの才能が芽を吹かずに枯れていったか――下手がやみくもに基本練習を繰り返しても、かえって下手を植え付け「未知への対応力」を鈍らせてしまう。そして、基本の「意味」を認識し、「意義」を体現できている指導者が壊滅状態にある今、他人に基本をひたすら繰り返させるのは、本来恐ろしい行為である。だが、世間では「基本が大事」と言って止まない。「基本信仰」こそ思考停止社会の元凶である。武術の探求者・甲野善紀の武術には「基本」がない。学ぶ側は、やみくもに頑張るのではなく、その瞬間瞬間の対応を迫られる。わかることに意味はなく、創造しできるようになる工夫をし続ける。本書では、甲野を観察し一から独自の理論と稽古法を構築して一流の格闘家からも驚かれる技を身につけた方条遼雨のユニークな上達論と、それをめぐる二人の対論で「上達の原理」を解き明かす。
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Posted by ブクログ
武術家・武術指導者の方条さんという方が、師匠格である甲野さんの振る舞いにヒントを得て、物事の習得、上達とは何かについて検討し、解説されている本。物事を細かくスキルとして分解し、どう扱うかをマニュアル化して、理解させることで上達するという一般的なやり方を批判し、理解や解釈は後、まずは根本原理=体の原理を組み替えることから始めるべきと説く。レースをしながらマシンの改造はできないので。低負荷で低速で単純に行うこと、また思考の柔軟性を持ち続けること=許すこと、など。一理あると思いつつ、精神論に走りすぎのきらいも感じてしまうということは、私が未熟ということか。