私にとっては、シンギュラリティで有名なレイ・カーツワイルについて、幼少期から死後の冷凍保存の予定までの盛り沢山のエピソードを知る貴重な書だった。
1965年、「クイーンズ出身の小柄で行儀のよいユダヤ人の少年」は有名テレビ番組に出演、17歳にして音楽を作曲する手作りのコンピューターを披露。MITでは
...続きを読む学期中一度も顔を見せず1時間ほど本をざっと眺めただけで物理学の試験でA。臨床的な死の後に、新たな治療法が見つかるまで自らを冷凍保存する予定のアルコーについては、保管状況などが生々しく紹介されている。
ナノテクノロジーは進化し、人工知能アルゴリズムは日々忠実にホモ・サピエンスの死の謎を解き明かしにかかっている。永遠の生を探求する人間は他にもいたかもしれないが、あきらめない強い気持ちを持ってこのメッセージを主流に押し上げた人間はいなかった。彼は「世界を変えた」。
この本には他にも錚々たる主役がいる。ラリー・ペイジ(アルファベット共同創設者)、アーサー・レビンソン(アップル会長)から、ピーター・ディアマンデス、オーブリー・デ・グレイ、クレイグ・ベンターなど圧巻の登場人物によるビビットなエピソードが満載。シリコンバレーでの発想のスケールを体感できた気がしてくる。著書は元CNN支局長で著名誌で執筆するジャーナリスト。