作品一覧

  • 幣原喜重郎 国際協調の外政家から占領期の首相へ
    4.5
    1巻968円 (税込)
    戦前に外相を4度務め、経済重視の国際協調を主導、戦後は占領下、首相として日本国憲法制定に尽力した幣原喜重郎。外交官の中枢を歩み、欧米との関係を重視した「幣原外交」は、軟弱と批判されながらも中国への不干渉を貫き、政党政治を支えた。満洲事変後の軍部台頭に引退を余儀なくされるが敗戦後、昭和天皇に請われ復活。民主化や憲法9条の成立に深く関与する。激動の昭和期、平和を希求し続けた政治家の実像に迫る。
  • 幣原喜重郎 国際協調の外政家から占領期の首相へ

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    近代日本を代表する外交官の評伝。戦前外務省の様子も垣間見えた。
    幣原外交の内実が小村以来の英米協調・満蒙権益確保(ワシントン体制)に加え、小村譲りの正攻法外交なのは意外であった。外交の王道ではあるが、邪道中の邪道である国民党の革命外交に行動指針として硬直した幣原外交(内政不干渉・英米協調・経済合理主義)は対応できず、亜細亜局(谷・重光)の現実主義的二国間交渉も不首尾に終わった結果、地域主義や「堅実に行き詰る」選択を余儀なくされたという印象は否めない。満洲事変前後での消極的態度も匙を投げていた証拠ではないかと考えていた。陸軍の強硬姿勢(中国の侮日姿勢への反発)が国際社会に認容されていた一線を越え

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    2022年03月23日
  • 幣原喜重郎 国際協調の外政家から占領期の首相へ

    Posted by ブクログ

    本書は、今年没後70年になる幣原喜重郎(1872-1951)の評伝である。副題は「国際協調の外政家から占領期の首相へ」。戦前期の幣原は外交官として活躍し、外相を四度務めた。一度目は加藤高明内閣のとき。加藤が病死して次の若槻礼次郎(第1次)内閣も外相再任で二度目。そしてその後を襲った田中義一内閣が張作霖爆殺事件で倒れた後に成立した濱口雄幸内閣で三度目。その濱口が遭難して第2次若槻内閣でも外相留任で四度目となる。第2次若槻内閣が昭和恐慌の経済失政で崩壊した後は政界から引退し、引き籠もった。しかし、この1932年から45年まで政界の一線から身を引いたことが結果的には良かった。戦時中に日本外交の責任あ

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    2021年08月18日
  • 幣原喜重郎 国際協調の外政家から占領期の首相へ

    Posted by ブクログ

    戦前に外務大臣、戦後に首相の座にも就き、日本の外交に大きく関わった幣原喜重郎氏を外務省記録などをもとに人物像や当時の考えを浮かび上がらせた作品で非常に読み応えがありました。
    恥ずかしながら最近まで幣原氏のことは存じ上げておりませんでしたが、基礎知識が貧弱でも読みやすかったです。
    幣原氏の判断で誤りだったと思われる箇所は指摘していたりと、幣原氏を正義や悪といった極端な位置づけにして述べられていなかった点も良かったです。
    関東軍の暴走がきっかけで満州事変が発生したと言われていますが、外務大臣の座にありながら満州事変の拡大を収めることができなかったり、戦後、首相に任命されGHQとの折衝を重ねながら日

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    2021年07月18日
  • 幣原喜重郎 国際協調の外政家から占領期の首相へ

    Posted by ブクログ

    満州事件で軍部の暴発を防げなかった点は残念だが、当時の日本の世論は米英協調、中国内政不干渉とは程遠かったのだから仕方無かったのだろう。
    エリートである事は間違い無いが、それだけでは国をあるべき方向へは導けない事がよくわかった。

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    2021年07月23日

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