前半は謎解きというより、植物に感情があるのかどうかの蘊蓄語りが興味深かった。
なので、解説にもあった通り、割とまったり話が進む。
主人公と青葉の信頼関係を築くのが必要だったと思うし。
その分、後半からの展開とある人物の評価の変わりようが凄かった。
最初はいけ好かない人物だったのに、どんどん好感度が上
...続きを読むがっていくという。
そこからの急転直下、心底驚いた。
植物がもつ記憶を頼りに謎を解くが、その解答が「真実」とは限らない。
真実は受け取る人の解釈次第でいくらでも広がっていく。
いい方にも悪い方にも。
「こうだったかもしれないが、そういうことだったかもしれない」と答えを一つに絞らないミステリというのは珍しい気がした。
一応作中で「多分こう」という側は示されはするが、自分の好きな方を選べる余地があるというのは押しつけがましくなくていい。
ただ最後の最後に明かされる件は、別の意味で心底驚いた。
こちらは解釈の幅がない。
一つきりの真実だ。
それにより、読んでいるこちらとしてはあるキャラに少し裏切られたそんな気がした。
信頼関係を気付いていたから、余計に。
それに対して主人公が寛容だったのも、個人的には「ん?」となった。
「え、おとがめなしなのか」という。
罪は全て裁かれろとまでは思わないが、叱るでも諭すでもなく、流したようなラストだったのが、少し気になった。