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内野勝行(うちの・かつゆき)
帝京大学医学部医学科卒業後、都内の神経内科外来や千葉県の療養型病院副院長を経て現在、金町駅前脳神経内科院長。 著書に、脳神経を専門としてこれまで約1万人の患者を診てきた経験を基に脳をクリーニングする『1日1杯脳のおそうじスープ』(アスコム)などがある。 フジテレビ「めざましテレビ」やテレビ朝日「林修の今でしょ! 講座」などテレビ出演多数で、様々な医療情報番組の医療監修も務める。
櫻澤博文(さくらざわ・ひろふみ)
通称:ドクターちぇりい、「メンタル産業医」、「過老&過労社会」他の命名者
産業医大卒後、京大院で社会健康医学系修士を取得。MBAが欲しくて福井大学教員時代、臨床研修義務化のドサクサに紛れて海外MBA講座受講コースを整備。その際、福井出身・ウォートン校卒、ビットバレー(渋谷)でDxの礎を築いた「スーパーサイヤ人」級の導師と出逢い、彼の指南で外資系コンサル会社に転職。時給10万円(+税)コンサルらと協働で「ストレス・マネジメント&ヘルスケア体系」を錬成、それらを科学的根拠の有無検証(IF8以上)にて「産業精神栄養学」として体系化すると共に合同会社パラゴンを設立し人財管理や労務・健康経営R水準の向上策として提供中。
田中奏多(たなか・かなた)
医療法人社団ベスリ会、心療内科医、産業医、調理師
社会環境で起こるビジネスパーソンの心の不調に対する体系的な医療、ヘルスケアサービスが必要と考え「働く人の薬に頼らない心のクリニック」ベスリクリニックを2014年共同創設した。女性産業医として、キャリアプランとライフプランを両立するPMS/PMDD外来,パフォーマンスを高める心身治療を専門にする。 第3のうつ病治療であるTMS治療を学ぶためハーバード大学TMSコースを修了し、2020年5月東京・恵比寿にTMS治療専門クリニックである東京TMSクリニック(Tokyo Total Mental Stress Clinic)を開院。産業医、心療内科医、公衆衛生の視点から社会へ自立した健康を作るための医療ヘルスケアサービスを構築している。
田中伸明(たなか・のぶあき)
ベスリ会総院長、日本神経学会認定医、医師会認定産業医、東洋医学会専門医
医学生時代北京中医学院・上海中医学院で、卒後富山医科薬科大学和漢診療学講座で東洋医学を学ぶ。神経内科専門医取得後、諏訪中央病院の医局長として地域医療に従事。その業績により厚生労働省で21世紀地域医療システム創りに参加、その後マッキンゼー日本支社・インターンとしてマネジメント、経営学を学ぶ。これらの経験を生かして会津大学コンピュータ理工学部、日本大学工学部、京都産業大学経営学部の教授を務める。 ビジネスパーソンのためのベスリクリニックを東京・神田に創設、株式会社ベスリの共同代表として新しいヘルスケアサービスに取り組んでいる。
來村昌紀(らいむら・まさき)
らいむらクリニック院長 医薬学博士、日本脳神経外科学会脳神経外科専門医、国立病院機構認定臨床研修指導医、日本頭痛学会頭痛専門医・指導医、国際頭痛学会認定Headache Master、日本東洋医学会漢方専門医、千葉大学臨床教授
脳神経外科専門医、頭痛専門医として脳外科領域一般と頭痛外来に従事した後、漢方薬の有効性に気付き千葉大学先端和漢診療学講座、千葉大学大学院に入学、西洋医学と東洋医学の良いとこ取りの医療を提唱し、千葉市に頭痛と漢方のらいむらクリニックを開設。YouTube らいむらクリニックチャンネル、17LIVE名医のいる相談室、stand.fm らいむら院長のハッピーアワーなどで情報発信をしている。著書に『漢方専門医の脳外科医が書いた漢方の本・入門編』『頭痛専門医・漢方専門医の脳外科医が書いた頭痛の本』がある。
だから、 脳が疲れやすい、頭痛もちの人は脳の感度が高い人です。たとえば、小さいころから乗り物酔いがしやすい。光がすごくまぶしいと感じる。音がすごく響いてガンガンする。タバコや香水の匂いで気分が悪くなってしまう。ほかの人が気づいていないことがわかる。なんとなく自分の体調で天気がわかる。こうした察知する力が高い人は脳の感度が高いのです。
脳の感度を落とすことは難しいので、帽子を被ったり、サングラスをしたり、ブルーライトカットの眼鏡をしたり、耳栓をしたり、マスクをしたり、 物理的に情報・刺激をシャットアウトする しかありません。 自宅なら部屋の照明は少し落とす。パソコンの画面を暗くする。夜はデジタル機器からできるだけ離れる。情報や刺激を減らすことが脳を休めることにつながります。光過敏の子が学校の授業中でも薄い色のついたサングラスをかけられるように診断書を書くこともあります。
もし脳が疲れたら、暗くて静かな部屋で軽く頭を冷やして安静にしましょう。これは頭痛にも有効です。 応急処置としては少量のカフェインを摂ると血管が収縮して血流を落とすことで、ズキズキした痛みが治まることもあります。市販の頭痛薬にもカフェインが入っているものはそうした鎮痛作用があるからです。
角膜移植ができるようになってからある盲目の人が光を取り戻しました。目が見えるようになったのに、最初の発声は「何も見えない」です。なぜなら脳が視覚画像を予測できないからです。そこで目をつむって、盲目のときと同じようにコップを触ると「コップです」と気づきます。つまり、脳が見ようとしたもの、予測したものしか見えないのです。
白アリは木くずだけで生きていますが、それは腸内細菌が栄養をつくっているからです。腸内細菌を働かせるために、 空腹の時間 をつくりましょう。人間の体は飢餓状態が普通です。原始時代は朝起きたら冷蔵庫はないので、空腹状態で走り回って狩りをしなければなりませんでした。 腸内細菌の餌となるような 根菜類などの繊維質の野菜 を摂りましょう。また、オリゴ糖のサプリメントは腸内細菌の餌になり、善玉菌を育てます。
わたしは本に費やすお金については支払うことを 躊躇 しません。子どもにもおもちゃは制限しますが、本は好きなだけ買ってあげます。デジタルは頭に入らないので、すべて紙で買っています。ネットニュースもあまり見ず、新聞を毎日読みます。 インターネットだと自分が好きなニュースだけを選びます。新聞は興味のあるなしに関係なく政治もスポーツも科学もあらゆる情報が載っています。
自分の興味だけを突き詰めていくと多角的に物事を見られなくなります。一見無駄な、いろいろな分野の情報を見ると、「あれ? ひょっとしてこれとこれつながるかも」と発想が生まれるのです。
脳は一方向に使い続けていると融通が利かなくなります。いろいろな方向へ脳を使うという意味で、毎朝、新聞を斜め読みすることは頭のいいウォーミングアップになっています。 わたしはすべてに浅く広く触れています。だから、特技を聞かれても困ります。読書とかスポーツとか一般的なものはありますが、深く掘り下げようとすると疲れてしまいます。趣味も固定したらそれ以外できなくなってしまいます。釣りもスポーツも絵を描くのも、全部が好きです。でも特技と言えるほどではない。だから、すべて「素人なんです」でいつでも笑っていられます。
ずっと同じところにいると、その刺激に慣れたら脳はサボってお休みに入るので、短時間集中して作業をするという意味では、場所を変えるのは有効です。たとえば、リモートワークになってもカフェで作業をする。家では休む。場所によってすることを切り替えると脳疲労が起こりにくくなります。 最近はワーケーションをする人もいますが、家よりもいい発想が浮かんだり、仕事がはかどるのは、その場所へ行くと気持ちが切り替わるからです。半分は仕事で半分は楽しみのようになります。 単調な仕事だと余計に脳が飽きてくるので、同じ仕事内容でも場所を変えるというだけで脳に違う刺激が入って集中も続きます。いい発想が出るということもあります。
脳も完全に何も使わないと立ち上がるまでに時間がかかるので、 アイドリング状態にしておく。あるいは仕事とは全然別の活動をする ことで、普段仕事ではあまり使えていない脳が使われてうまくバランスがとれてパフォーマンスが上がることもあります。
ヴィゴツキーの最近接領域という考え方があります。高望みをしてもいいが、自分がなれるのは現実の少し上です。現実的な予測の範疇に目標を置かないと脳は疲れます。 適切な努力目標を繰り返して、少しずつ理想に近づいていけると、パフォーマンスは落ちません。
わたしはだいたい決まった時間に寝て、決まった時間に起きて、決まった種目の筋トレをして、本を読んで、朝食を食べたらクリニックに来ます。お昼の休憩時にはオンラインラジオやユーチューブの収録をすると決めています。その日までにあった話したいことを決めておいて、話すだけなので負担にはなりません。ルーティンワークにしてしまえば、そこまで継続するのはストレスではなくなります。
発達障害のお子さんの診療は人間の元々の脳の使い方がとても勉強になります。 「じっと待っててね」と言っても動かず待つことができる子は少ないです。しかしながら、「積み木で遊んでてね。終わりって言ったら終わりね」と伝えると、静かに待つことができます。そして「終わり」と伝えると終わりにしてくれます。
それをやめたければ、「スマホを触らないように」と意識するよりも体の習慣から消してしまうほうがいいでしょう。温泉旅館に一人旅をして静かに本を読んで過ごしたり、たまにデジタルデトックスをすると、スッキリして翌日からそれほどスマホをいじらなくなります。手に取ろうとしてもちょっと置いておこう、ひと呼吸置こうと思えるのです。それは無意識になっていた体の習慣がリセットされたのです。
たとえば、興味のない分野の本を読む。勉強をする。これではすぐに機能停止してしまいます。ものすごく面白い小説を読んだら、夜中まで止まらなかったという経験はあるでしょうか? そういう本を読めばいいのです。
わたしは運動が苦手だから、あえてラグビー部に入りました。初心者で体も小さかったので、つねに補欠なわけです。そうやって自分に不利なことをつねにしていると、あー嫌だな、行きたくないなみたいな気持ちも出てきます。でも、負荷がないと頭が疲れてしまいます。 嫌なことは誰だってしたくありません。だから、自分から嫌なことを強制的に入れてしまう。すると、その部分の脳を使います。そのあと、楽しいことをするときの楽しさが倍増します。
副業ができる人なら個人事業主をしてもいいし、「何が売れるかな? 最近の流行は……」と頭を働かせることがあると、本業にも張り合いがでます。
わたしは、子どもには仕事がすごく楽しいと言っています。医者になれとは一言も言いませんが、仕事から帰ってきて「今日も楽しかった」と言っています。父さんの仕事楽しそうだなと思ってもらえたら、それで満足です。
とくに女性は月経血によって1日あたり0・5㎎の鉄が喪失します。また妊娠・出産・授乳期にはさらに多くの鉄分を必要とするので、鉄分不足になりやすいのです。平成 29 年の国民栄養調査(厚生労働省)では、日本人女性の約 15%が鉄欠乏性貧血であると報告されています。
亜鉛には神経伝達物質をつくる働きと、鉛や水銀など現代生活を過ごしているとどうしても取り込まれがちな有害金属を排出する働きがあります。 また男性の精子形成、子どもの成長発育、味覚・嗅覚・聴覚の維持、髪や肌の健やかさを保つなど、体内のさまざまな生理活性活動を円滑にします。
朝食は洋食より和食がいい と言われるのは、パンに比べてお米は食後の血糖値上昇がゆるやかなことから神経細胞への負荷が少ないからです。小麦を使った食事は食後の血糖値の増加が急激且つ持続力がなく、神経細胞の疲労を起こします。またバターやラードといった脂肪分も同時に摂取しやすいことから、動脈硬化のリスクも上昇してしまいます。
認知症の人は記憶の断捨離マスターです。無駄なことをおぼえなくてよくしている。 認知症と本人が言われたら、周りからもそう見られます。そうしたらどんどん認知症になっていってしまいます。そうではなく、余計なことをおぼえなくてよくなった。昔の楽しい記憶だけを残して生きているということだけなのです。
60 代、 70 代の男性に認知機能の低下が多い理由は、ずっと根詰めて 60 歳まで働いてきたことが定年退職とともにゼロになる。それで一気に脳を使わなくなるからです。 毎日走らせていた車を5年くらい置きっぱなしにしていたら乗れなくなります。少しの距離でも毎日乗ることです。限界まで走る。ずっと動かさないではなく、適度に動かしたほうが耐用年数は長くなりますよね。脳も一緒です。
休みの日は、ちょっとカフェでおいしいものを飲みながら勉強をするとか、 場所を変える のは集中するのに有効です。 また飽きてきたらパフォーマンスが落ちてくるので、 次の作業に切り替える。1冊の本をずっと読み終わるまで粘るより、ちょっと飽きてきたなと思ったら、また違う本を読むという感じで読書したほうが脳の集中は続くでしょう。