イーアン・ペアーズの作品一覧

「イーアン・ペアーズ」の「指差す標識の事例」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 指差す標識の事例 上

    指差す標識の事例

    小説・文芸

    3.5
    1~2巻1,300円 (税込)
    1663年、クロムウェルが没してのち、王政復古によりチャールズ二世の統べるイングランド。医学を学ぶヴェネツィア人のコーラは、訪れたオックスフォードで、大学教師の毒殺事件に遭遇する。誰が被害者の酒に砒素を混入させたのか? 犯人は貧しい雑役婦で、怨恨が動機の単純な殺人事件と目されたが──。衝撃的な結末で終わる第一の手記に続き、同じ事件を別の人物が語る第二の手記が始まると、物語はまったく異なる姿になり──。『薔薇の名前』とアガサ・クリスティの名作が融合したかのごとき至高の傑作!

ユーザーレビュー

  • 指差す標識の事例 下

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    下巻は暗号解読の達人である幾何学教授の手記から始まる。
    上巻は、まずヴェネツィア人の医学生であるコーラの手記から始まったのだが、真面目でお人好しの好青年と思われた彼の姿は、ふたり目の法学生プレストコットの手記によって、いささか様相が変わってくる。
    重大な事柄の記述漏れ、明らかな噓。
    コーラはなぜ、ロンドンではなくオックスフォードにやってきたのか。

    しかしプレストコットの手記も変だ。
    尊敬する父の汚名を返上するための彼の行動は、どう見ても常軌を逸してきている。
    ヒステリックなその行動を、彼は、さらに魔法をかけられたからだと思い、その魔法から逃れるために、サラを無実の罪に陥れ、死刑へと向かわせる。

    そして下巻。
    暗号解読の達人であるウォリスは国王に仕えたり、革命後はクロムウェルに仕え、王政復古3年後の今は再び王に仕えるという定見のなさ。
    信仰も英国国教会から長老派、そしてまた国教会と行ったり来たり。
    要はいつも勝ち組に乗る男が、コーラとプレストコットの手記を読み、その嘘を暴き真実を語る…ことになっているのだけど、これが過去最高に信用できない語り手。
    とにかく自分の考えに凝り固まっていて、間違いを指摘されても聞く耳を持たない。

    そもそも、最初にコーラの噂を聞いたときは、トルコの海賊にフィアンセを殺されて復讐の鬼になったがりがりに痩せた男だったはずなのに、目の前に現れた小太りの陽気な男をすんなり受け入れる感覚がわからん。
    普通なら、「誰だ?これは」ってなるんじゃない?
    もう偏執狂と言っていいくらい視野が狭い。(実在の人物なのに、いいの?これで)

    最後の歴史学者ウッドが3名の手記の噓や矛盾を暴き、真相を解明するという流れなんだけど。
    解明というか、彼は最初から真相を知っていましたね。
    ただ、その意味を理解していなかった。
    なぜならば、彼は人付き合いの苦手な世間知らずのお坊ちゃんだから。
    噂が耳に入るのがいつも遅い。

    そして、彼すらも、信用できない語り手だと思うのが、サラについて語る部分。
    今なら正気ですか?と言えるその描写も、当時は本気で信じてはいるのだろう。
    だけど、真実かどうかはちょっと疑問。

    上巻はグローヴ教授毒殺事件の謎が物語の中心と思っていたのだけど、下巻に入るとイギリスという国の歴史の中のブラックボックスが中心になっていた。
    王制と共和制、国教会とカトリック、そしてゆれるイギリス国内を虎視眈々と狙う周辺諸国。
    どの語り手の真実も、事実から少しずつ乖離していて、最後まで読んでも全然スッキリしない。

    だけど面白かったんですわ。
    実在の人物が多数出てくるし、歴史がさらに負わせた過酷な運命には愕然とするけれど、続きが気になってしょうがない。
    衒学的で難しい本なのに、ぐいぐい読んで、寝不足でございます。

    0
    2023年04月07日
  • 指差す標識の事例 下

    Posted by ブクログ

    各章の語り手のミソジニーとパターナリズムに辟易しながらも、語り口と構成に乗せられて一気に上下二巻を読み通してしまいました。
    読後感も程よく、面白かった!

    0
    2022年05月08日
  • 指差す標識の事例 下

    Posted by ブクログ

    長い。
    ちょっとした知識どころか、相当念入りに勉強してから挑んだほうがいい。
    下巻最後の人物解説、年表、訳者解説を最初に読んだ方が楽しめるような気もしました。
    かなり読み手を選ぶとは思うけど、個人的にはがんばって読んでよかったかなって感じでした。
    歴史、宗教絡みのネタに微塵も興味を感じない人には全くおすすめできないし、おもしろくないと思います。

    0
    2021年02月10日
  • 指差す標識の事例 下

    Posted by ブクログ

    第三の手記は幾何学教授ウォリス、最後は歴史学者アントニー・ウッド。
    四部それぞれ翻訳者が違うという趣向がまた面白い。「信用できない語り手」、楽しいなあ。

    0
    2020年11月28日
  • 指差す標識の事例 下

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    深いですね~側面どころか、縦・横・斜め・あげくは斜め下から読まなくてはならない本だったなんて・・・。
    4人の手記の形をとっていても政変ありスパイもどきも出没。そしてまさかのキュン話にまで行き先を変えながらもミステリーの形を保ち、謎は深まるばかり。
    『薔薇の名前』を称している通り、時間をおいてまた手に取ってみたいカモ。

    自分のなかの最大の??だった東江先生の謎もあとがきでスッキリ。

    0
    2020年09月20日

新規会員限定 70%OFFクーポン 今すぐGET