表紙の言葉をつかえば、縄文時代についての「図解まんが」です。
但し、まんがといってもイラストによる図解といったほうが近いです。
いずれにしても、見ても読んでも楽しい構成になっています。
表紙には、書名の前後に形容句と名詞句が付されています。
まず「おもしろ謎解き」という形容句。
その通り、おもし
...続きを読むろいという感覚的な要素だけでなく、謎を解くという分析的な要素も意識してつくられています。分子人類学者、先史生態学者、植物考古学者、そして考古学者に至るまで、縄文をめぐるさまざまな科学者による知識が紹介されています。個人的には、縄文時代の骨の研究によって当時だけでなく現代に至るまでの多様なことを知れる先史生態学が面白かったです。
そして「1万3000年以上続いたオドロキの歴史」という名詞句。
江戸時代が300年ちかく続いたことで知られていますが、縄文時代はそれをはるかに超える時代であったことがわかります。表紙をめくった冒頭のページは、「今から1万5000年前に始まったとされる縄文時代。そのころ、日本列島に暮らした縄文人とは、どんな人たちだったと思いますか?」という問いから始まりますが、そもそもそれだけの長い時間を想像するだけで圧倒され、本書への期待が高まります。そして、その期待は(少なくとも大きくは)裏切られないでしょう。
近年になって見直される機会がぐんと増えた縄文時代ですが、知れば知るほど長く続いたことに頷けます。縄文人は一般的に「狩猟採集民」といわれますが、おそらく「狩猟栽培民」であったであろうという再定義にも納得。
全体としてカジュアルすぎずハードコアすぎず、教科書でも参考書でもなく・・・。とにかく(語弊はあるかもしれませんが)寝ながら学べる縄文時代として、おすすめの良書です。