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  • 果てしなき輝きの果てに

    果てしなき輝きの果てに

    小説・文芸

    4.1
    1巻2,420円 (税込)
    薬物蔓延で荒廃するケンジントンのパトロール警官ミッキーは線路脇でドラッグ中毒者の遺体が発見されたとの報せに現場へ赴く。妹のケイシーだろうか? かつて厳しい祖母の下で支えあって生きてきた姉妹。今は何年も話さず、売春の客引きや麻薬取引をする妹に姉が手錠をかけるくらいが接点だ。だがしばらく路上にケイシーの姿はない。遺体は彼女ではなかったが絞殺痕があり、さらに似たような事件が相次ぐ。ミッキーは憑かれたように犯人と妹を探すが……姉妹の絆と孤独を抉る、アメリカの今を映した新しい警察小説。

ユーザーレビュー

  • 果てしなき輝きの果てに

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    麻薬ビジネスの横行するペンシルベニア州ケンジントン地区では、クスリを手にする金を求めて路上で身売りする女も数多。
    この地区のパトロール警官ミカエラは妹のキャシーをこの界隈でよく見かけときには連行する場に居合わせることも。
    そんな日常の中、商売女ばかりを狙った連続殺人事件が発生し、ミカエラは次は妹の番なのではと身を案じる。

    幼少期に育まれた姉妹の絆の消失と再生、幼い息子トーマスとミカエラで奮闘する母子家庭の苦悩と希望。
    犯人を突き止めるミステリというよりは、家族の物語の色が強い。

    姉と妹の気持ちが次第に離れていく様、純粋無垢な少年の素直さと大人の勝手な都合が招く不条理なシチュエーションがたまらなく切なく、読むのが辛くなることすらあったが、その湧き上がる感情こそが読書の醍醐味。

    いやあ、そこはかとなく心を昂らせる描写がうまい。
    読み応えありました。

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    2020年12月09日
  • 果てしなき輝きの果てに

    Posted by ブクログ

    ドラッグ、セックス、腐敗警察という語りつくされた感のあるミステリの題材ではある。けれども、古都フィラデルフィアの荒凉たる街をパトロールする毎日を過ごし、自身の苦悩を抱え込みながらシングルマザーとして幼い息子を育てている主人公の懸命な努力がつぶさに描かれている。過保護なまでの育児の裏の真実が徐々に明かされていく過程は痛々しくもあるが、やがて静かな感動を呼ぶ。

    0
    2020年10月13日
  • 果てしなき輝きの果てに

    Posted by ブクログ

     暗い話は苦手だという方にとっては、本書は忍耐を強いられる物語である。そもそもこの作家にとってはミステリーが初チャレンジだそうだ。これまで数作の私小説的な、あるいは社会問題をテーマにしたヒューマンな作品で評価されているようだし、ミュージシャンであり、大学の先生でもあるらしい。多くの顔を持つ作家の初のミステリー・デビューということである。

     ヒロインのミカエラはフィラデルフィア市警24分署のパトロール警官である。ある日、通報によりリ、連続殺人事件の被害者である若い娼婦の遺体に遭遇する。パトロール警官の身には、捜査権限という点で相当のハンディを抱えているばかりか、捜査状況の進捗すらまともに読み取れない立場なので、ミステリーとしての物語をこの書がどのように進めてゆけるのかなと要らぬ心配で頭をいっぱいにしながら、読者としてのぼくはミカエラとその妹ケイシーの物語へと導かれる。

     ミカエラの独白は語る。そのケイシーが薬物中毒で娼婦へと身に落としているかもしれないこと。そしてここのところ街から姿を消し行方不明になっていること。連続殺人事件の被害者として未発見の遺体と化している恐ろしい状況を、姉は心配するのだ。

     本書の主人公は二人の姉妹で、彼らの恵まれない現在と過去を行き来しつつ、ミカエラは一人称で語る。現在にも過去にも、冷たくて意地悪で逆境を作り出しているかのような人物がいて、ミカエルは苦しみながら、ケイシーの行方だけに心を捉われゆく。

     もう一つの主人公はここフィラデルフィアの最も荒れ果てた街ケンジントンだと言っていいだろう。犯罪の横行する、貧しく荒んだ街を流れるデラウェア川を、示したような原題"Long Bright River"は、一方では姉妹たちの、どうにもならない宿命を表しているかにも見える。

     薬物被害の横行する街、遺伝的に依存症傾向のある(とミカエラが信じる)彼ら一族の血、依存症の女性から生まれる新生児のダメージと、そこから救われるための苦しみ、依存症患者へのヘイトに満ちた社会の眼差し等々を見ていると、本書はストレートな社会派小説であるとも見える。

     それでいて、姉妹の隠されていた秘密、連続殺人の意外な犯人像、などなど、ミステリーとしての驚愕に満ちた仕掛けもしっかり用意されてる、ある意味とても精緻で完璧な作品でもある。

     読中、ヒロインの悲劇につきあうのはとても苦しい体験なのだが、果てしなき輝きの果てにミカエラが見つけ出すものを知るところまで是非、このいたいけなヒロインにおつきあい頂きたい。この作品の素晴らしさを必ず感じ取れる時が必ず来ると信じて。

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    2020年07月13日
  • 果てしなき輝きの果てに

    Posted by ブクログ

    妹を探すパトロール警官のミッキー。薬物、売春が当たり前のようにあるなかで小さな手がかりから追う。そのなかで見えてくる問題。薬物、貧困、犯罪。そこで生活すること、子供を持つこと。社会問題を見せつつ物語は進む。姉妹の関係性や複雑な感情、子育てや家族のこと。生きていかなきゃいけない孤独とともにあるわずかなでも確かな幸福。とても印象的な作品。

    0
    2020年06月25日
  • 果てしなき輝きの果てに

    Posted by ブクログ

    犯罪小説の形式を借りた家族の物語。

    ミステリーとしての面白さもあるが、中心となるのはミッキーとケイシーの姉妹の物語であり、薬物依存と再生の物語でもある。

    主人公ミッキーはフィラデルフィアのパトロール警官で、一人息子をシングルマザーとして育てている。
妹のケイシーはケンジントンの路上に立つ娼婦。
    二人は幼い頃に母を亡くし、父はその後行方不明。祖母に育てられる。
    十分な愛情を受けられない環境で、ミッキーは警官となり、ケイシーは薬物依存に陥り娼婦となる。

    そのケイシーが失踪し、付近では若い女性を狙った連続殺人事件が発生する。
ミッキーはケイシーを探し始めるが、物語は現在と過去を行き来しながら、姉妹の過酷な人生を辿っていく。

    主人公のミッキーが痛々しい。
    境遇としてはケイシーの方がどん底なのだが、ミッキーの独り相撲が、ケイシーや育ての親である祖母のジー、その他親しい人たちとの間に溝を作っていく。

    ミッキーに悪意があるわけではない。しかし、壁を作る。人を信用できない。
すべて自分で解決しようとするが、それが裏目に出る。
    自分を守るために作った壁が、結果として自分を孤独にし、他人をも傷つけてしまう。

    ミッキーは愛が足りないがゆえに、自分しか信用できなくなり、
ケイシーは愛が足りないがゆえに、他人や薬に依存する。

    辛く厳しい人生だったが、最後は希望が見えて終わる。
    何だろう、この感動は。
    深く味わいたい。再読必至の物語だ。

    0
    2026年10月10日

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