正直言って、ものすごく読みづらい本!(そして、そこそこ分厚い)
話が章ごとに、まったく違うことを語っていく。
・ルーンショットとは誰からも相手にされないバカげたアイディア
・バカげたアイディアを潰されないようにどう守るか
・既存モデルを守るだけでは絶対に衰退する
・水と氷の平衡状態が大事
・アーティストとソルジャーの共存が大切
・イチ組織の人数は150人が最大。それ以上になると官僚的になる。
・ある閾値を超えると、一気に物事が進むことを意識する
それぞれが完結した内容となっている。
どこにどうやって集約されていくのかが読めない本だったが、何と最後の数ページですべての伏線が回収されていくという!
(謎解き映画かよ?という感じ)
一番の腹落ちは巻末の解説でした。(笑)
ここでそれぞれの伏線の意味を解説してくれて、なぜ最後に結論付けているのかを、ものすごく明確に説明してくれるという!
(ただし先に解説だけ読んでも、その思いとか、深い部分までの理解は得られないと思うので、やっぱり我慢して最初から読むしかない)
最後の最後まで読んでみて、ようやく「んんっ!」と唸る本。
ただ、本当に今のこの時代に読んでみる価値はある!
「イノベーションのジレンマ」が有名だが、やはり今現在の成功事例があると、それを否定してまで新しい事に取り組むことは相当に難しい。
その辺が丁寧に描かれている。
成功している企業は規模が大きくなるから、上記で言う「150人の壁」を超えてしまう。
そうすると途端に「仕事をする(ここで言うルーンショットをめざす)」ことよりも、「社内政治(上司や周囲と関係を築く)」ことにインセンティブが働くという。
これは納得感がある。
ある程度の規模以上の会社は、自分一人が頑張っても、サボっても影響力が少ない。
だったら本業を磨くことよりも、如何に同僚を出し抜いて、自分が組織の中で有利なポジションを獲りに行く、という方向を目指す事になる。
これが150人という単位なのだという。
同じ会社としても、支店や工場など、ユニット単位を150人を意識して組織づくりをする旨を説いている。
これと、ルーンショットとどう結びつけるのか。
これが「水と氷の平衡状態」「アーティストとソルジャーの共存」などが関係する。
スティーブ・ジョブスの例が出てくるが、Appleの成功は特殊過ぎる。
むしろ、Next・Pixerといった「まだ芽が出てないルーンショット」の話の方が面白い。
社内で「平衡状態」を保つのは本当に難しい。
しかしある日突然に、ブレイクスルーを起こす日が来る。(これが閾値超えだ)
放たれたルーンショットは、いつかそれが普通のこと(技術)となり、また新しいルーンショットを探す、育てることに向かう。
本当に読んでみて意味がある本と思う!
是非一読を!
(2020/8/26)