希望のある話で良かった。
マリコが死んだ世界で、シイノも後を追うように死ぬという選択肢もあったが、シイノは生きてマリコを思い続ける道を選んだ。だからこそ最後に記憶の中のマリコだけでなく、生きたマリコ本人が残した手紙を読むことが出来た。その面でこの手紙の存在は作者からの生の後押しでもあるような気がして
...続きを読む私は好きだった。生きて居なければマリコの最後の自分への思いを知る事はできなかった。
マリコはきっとシイノに死を望んでいなかったと思う。男と交際を繰り返しシイノに激情を向けられる事を求めた反面、シイノに直接「私とずっと一緒にいて」と頼む事は出来なかった。
愛した人が死んだ時、後を追うのが愛なように生きる愛もあり、世の中では後者が大半であると思う。シイノの足掻きはもう一度生へ戻る為の足掻きだった。とことん死と向き合って、それでも生きる道を選び、それを親友の手紙が迎え入れる構成は暖かくて好きだった。