和歌といえば貴族の恋人同士のやり取りのイメージが強いけど、実はそれだけではないんです、いろんな用途があるんですよというのをわかりやすく丁寧に説明してくれる書籍だった。
今まで読んだ百人一首の解説本には書かれていなかった歌会や歌合、歌集の歴史と移り変わりなどもようやく理解でき、百人一首の前半と後半で
...続きを読む随分歌の雰囲気というか取り組み方が違う訳も合点がいった。
また、この本にはいくつもの歌が載せられているが、その中で特に印象深かったものがある。
「飽かざりし 袖の中にや入りにけむ
我が魂のなき心ち(ここち)する」 陸奥
85ページ
女友達とたくさん話して別れた後に、友人の袖の中に私の魂が入って残っているみたいで名残惜しい、というような意味の歌で、自分も人と会った後その人の家や店に自分の一部を置いてきてしまったように感じていたので、1000年も前にも同じように感じていた人がいることに驚いた。