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  • 七つの殺人に関する簡潔な記録

    七つの殺人に関する簡潔な記録

    小説・文芸

    4.3
    1巻6,600円 (税込)
    〈マン・ブッカー賞受賞作〉一九七六年十二月のボブ・マーリー暗殺未遂事件。襲撃犯は何者なのか――今も真相が明かされず、米国の陰謀すら囁かれる事件をもとにした長篇小説。ギャング、政治家、記者、CIA、亡霊など七十人が織りなす、公には語られない歴史

ユーザーレビュー

  • 七つの殺人に関する簡潔な記録

    Posted by ブクログ

     700ページの大作、書籍というよりは壁もしくは鈍器といったほうが良い「七つの殺人に関する簡潔な記録/マーロン・ジェイムス」です。よくこんな本出す気になったな早川書房。しかも、中は二段組みで書かれており、正味2倍の容量。そして、忍び寄る老眼によってぼやけて見えるため、攻略難易度が異常に高いのが特徴です。いやー、時間かかりましたよ読むの。3か月はこれにかかりきりでした。
     ジャマイカの英雄、ボブ・マーリーにまつわるお話なのですが、(まつわるといっても本人は全部で10行くらいしかでてこない)、なんというか凄すぎて興奮が止まりません。「ナルコス・ジャマイカ編」とでもいえば良いのでしょうか。様々な登場人物が織りなす、スーパーバイオレンス群像劇。ドンパチとドラッグによる酩酊の中に潜む人間模様が深く、出てくるキャラクターの魅力がガルシア・マルケスmeetsNetflixとでも言いましょうか物語をグイグイとドライブしていきます。
     このボリュームだからこそ出せる小説の良さがここにはあります。人と人の関係が折り重なり、事件と事件が交錯し、場所と場所を移動し、時間と時間を繋げて、ディテールまでこだわり、多層で豊穣な物語にするにはこれくらいないと中途半端になってしまうでしょう。
     他の小説家もこのくらい長いのを読者無視して書きたいのでしょうが、編集やら出版社やらに反対されて折れてしまったりするはずです。そこをかいくぐってこのボリュームで出版されたことに拍手です。映画でいうと濱口竜介「ハッピーアワー」どころかタル・ベーラ「サタンタンゴ」くらいの重厚作品、皆さんたじろがずチャレンジしてください。本気で面白いです。

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    2019年11月04日
  • 七つの殺人に関する簡潔な記録

    Posted by ブクログ

    ある「歌手」の暗殺未遂事件について、様々な立場の人物の視点から真相を探ってゆく。
    膝の上に乗せるのにちょうどよい分厚さ。

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    2019年09月08日
  • 七つの殺人に関する簡潔な記録

    Posted by ブクログ

    辞典のように分厚い本だが、多元焦点の手法で登場人物が入れ替わり立ち替わり、時間が経過していく、一本の映画のようにあっという間に読めた。しかしこの情報量でほんの数十年の出来事に過ぎず、南米の歴史を深く紐解いたらさらに数十冊になるだろうから、これはほんの一部の物語である。

    Netflixでボブマーリーの映画を観たばかりだったのだが、日本からしたら遠い南米ジャマイカという国について自分は何も知らなかったと、改めて自覚した。

    ボブマーリーについては、平和の象徴と讃えられ、数々のヒット曲で世界を席巻したレゲエシンガー。南米の陽気な国ジャマイカで誕生したレゲエミュージック、という認識がこの本でガラガラと崩れた。

    南米のゲットーの暮らしは想像を絶する。アメリカよりも悪い。アフリカに近いかもしれない。ジャマイカだけでなくキューバやブラジルやメキシコも劣らずの治安の悪さが想像できる。第三世界とアメリカは表現するが、キューバ危機など、冷戦の影響が見え隠れする。社会主義、共産主義と資本主義の対立構造が、国の発展を阻み、成熟を妨げる。アメリカの思惑に、国内政治のプロパガンダに音楽の英雄は利用される。マフィアもまた彼らの飼い犬の一つにすぎない。プライドも野望も力からは逃れられない。盛者必衰、今日笑っていた者が明日にはいなくなる。また別の力が椅子に座るだけだ。

    これはフィクションだが、南米とアメリカの関係がかいまみえ、あながち嘘ではないだろう。

    ジャマイカという国の歴史を知らずに、60年代から90年代までの部分だけ切り取ってもピンと来ない。アフリカ奴隷の反乱や、スペイン、フランス、英国の南米支配の歴史を知り踏まえてみれば、より多くのことに気づくだろう。開拓史や音楽史、宗教の起源も併せて彼らの歴史を勉強したい。ラスタファーライの本質など、アフリカから受け継がれた思想も関係するのだろう。

    一方でアメリカに渡ったジャマイカ人が、どのように彼の国で生き延びてきたのかも、視野に入れねばならない。ジャマイカのゲットーにルーツを持つマフィアたちの非道がどのように培われたか。第三世界を利用してきた、資本主義社会にも責任の一端はあるのだから、彼らを危険視して排除すればいいというシンプルな話ではない。黒幕は大体安全な国のアップタウンでのんびりと楽しんでいる。ゲットーになど興味はない。搾取される者が、搾取する側に回ることは無い。

    ジャマイカのゲットーで起きていたことは、ニューヨークのゲットーよりも酷く、黒人の人権を勝ち取るためのリーダーもいない。彼らはまだ共食いしていて、成熟していない。つけこまれ、アメリカに搾取される。

    作中のピアスはマーロンジェイムズなのかもしれない。ジャマイカという国を外側から捉える視点そのもの。死がいつも近くて、死に時も選べない時、音楽やラスタが彼らの魂を救ってくれるのだろうか。本当の肥溜めの中では死に慣れるしかないのか。自分などが想像してみても、何も分からない。

    本作はレゲエだけでなく、60年代から80年代のヒットチャートなど、音楽についての描写が多く、音楽好きにはまた違った楽しみがあるのが良かった。

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    2026年06月24日
  • 七つの殺人に関する簡潔な記録

    Posted by ブクログ

    ジャマイカやばいとこじゃん..

    名前だけ中に浮いていたボブマーリーという存在の輪郭が、(かなりいい意味で)この読書を通じて明確になった気がします。

    現在のジャマイカはどうなってるんだろう。
    レゲエを聴いみようかな。

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    2024年01月30日
  • 七つの殺人に関する簡潔な記録

    Posted by ブクログ

    いやぁ~、読みごたえがありました。
    百科事典じゃないんだから、もう。重すぎです!
    ・・・と文句言いつつ、この装丁、大好きなんですよね。
    背表紙が特に好き。背表紙を横書きにして、絵まで入れちゃうなんて、この分厚さだから出来ること。

    しかし、読んでいてけっこう頭が疲れた。
    たくさんの登場人物にそれぞれの視点から見えたことをしゃべらせて、ゆっくりと全体像を浮かびあがらせていく形式の物語なんだけれども、そういうタイプの物語の常として、話の焦点が絞られてくるまでにすごく時間がかかる。通常の本ならともかく、このボリューム。半分くらい読んでも(すでに400ページ以上)、ただのギャングの抗争劇にしか見えなくて、かと言って「歌手」の狙われた理由もそれほどミステリーでもないし、いったいこの話、何が言いたいの? もしかして、私、話についていけてない?・・・などと3部あたりで非常に不安になった。

    がしかーし、4部に入って、これまでの労力がどんどん回収されるかのように、「物語」が見え始め、トリスタン・フィリップスの独白部分でやっとカチリとパズルがはまった。
    ああ、これはジャマイカという、とんでもなくどうしようもない国への愛の告白本なのか!
    あの「歌手」は、あの国を、そしてあの国にいる人たちの気持ちを、今までで一番高く、それまでで一番遠くへ連れて行こうとした時代の象徴だったんだなあ。

    「わかるか、希望ってのは、ピカピカしてて新鮮なときには、色までついてるんだぜ?」
    「以前にカラーだったときがあるんだ、だがなくなっちまった。それがなんというか、ジャマイカらしい」
    「なぜオレの国がこれからもいつも、失敗しないようにびくびくし続けることになるのか、その400年分の理由をまるごと全部書いてくれだなんて。笑えるだろ」

    400年分どころか、たった15年分(1976年~1991年)でこのボリューム。(笑)
    そりゃ400年分となると、トリスタン・フィリップスの言うとおり、「一冊の本にはデカすぎるかも」ですな・・・。

    後半は、舞台がアメリカに移動するせいもあってか、ところどころで作者のジャマイカ愛が行間にあふれ出していて、今まで特に興味を惹かれたことはなかった国だったけど、ジャマイカに行ってみたくなった。っていうか、今日にでもジャマイカ料理が食べてみたくなった。最終章のジャマイカ料理の店での会話が素敵すぎる。
    こういう、異郷の地で自国の料理について思いをはせる瞬間の気持ちって、全人類、全民族共通で、どこの国の話だろうと、心の奥にごんごんと響いてくる。

    物語の大半はギャングの抗争に関することで、残虐な殺戮シーンもモノローグ形式だからか、実況中継風で、リアルじゃないリアル感(TVを見ているような感じ)で、凄惨なのにどこかユーモラスだったり哲学的だったりもして驚くのだけど、いわゆる普通の物語のシーン、つまり誰かと誰かの心がつながっていく過程などを描いても、この著者は芸術的にうまくて、ビックリした。(当たり前?)
    特に、ドーカス・パーマーの章。この章だけで一つの小説として完成している。私的に、今まで読んだ記憶喪失ものの中でベスト。
    ジョン=ジョン・Kの屈折した愛の告白も、殺伐とした現実との対比がたまらなかった。誰かを思うだけで、ひどい世の中が美しく見えてくる、って感じ。
    この作家の、こういう感じのもっと短いシンプルな小説も読んでみたいと思った。
    でも、「最新作はアフリカ版 "ゲーム・オブ・スローンズ" 」と書いてあったから、たぶん、この本以上に複雑長大かも・・・?

    ボブ・マーリーの曲が出てくるとYouTubeで検索しまくりで、曲に詳しい人はもっとこの本を楽しめただろうになぁ、と彼の曲をほとんど知らないことを残念に思った。
    しかし「No Woman, No Cry」はいつ聴いても名曲だなぁ。聴いてると優しい気持ちになる。
    唯一プリンスだけYouTubeなしで脳内再生できた。姉がレコードを持っていたから。(盤面がどぎつい紫色だった)
    当時は子供だったので、あのセクシーは全く理解できず、お笑いにしか見えなかったが、今は天才と分かります。この本のドーカスのアパートでプリンスを聴く場面、読んでいてすごく楽しかった。

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    2019年11月17日

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