作品一覧

  • 意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか
    4.3
    1巻3,080円 (税込)
    2012年、権威ある医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』は、その200年の歴史において掲載した論文のなかから、もっとも重要な一本を選ぶ読者投票を行った。X線写真や抗生物質の発見など、その後のあらゆる画期的な進歩に関する論文を抑えて読者が選んだ「栄えあるベストワン」は、1846年に掲載されたエーテル吸入による初めての無痛手術についての論文であった。今日では、麻酔は脳や心臓の手術から虫歯の治療にいたるまで、医療現場になくてはならないものになった。しかし、発見から170年以上が経ったいまでも、麻酔薬が私たちに作用するメカニズムは多くの謎に包まれたままなのだ。メスで身体を切り刻まれているあいだ、痛みを感じないのはなぜなのか? 手術のあと、何事もなかったように目を覚ますことができるのはなぜなのか? 3万回以上の処置を行ってきた麻酔科医が、麻酔薬の歴史から麻酔科医の日常までを描く、謎めいた医療技術をめぐるノンフィクション。
  • 鼓動が止まるとき――1万2000回、心臓を救うことをあきらめなかった外科医
    -
    1巻3,300円 (税込)
    「心臓手術には例外なくリスクがある。執刀する私たち医者は、振り返らない。私たちは次へと進む。いつだって、結果がよりよいものになると期待する。そして、決してそれを疑ってはならない」私たちの心臓は1年間で3100万回、80年生きたとすれば、25億回の拍動をつづける。毎日全身には、6000リットル以上の血液が送り出される。この途方もない偉業を、私たちはどうして機械にやらせたり、他人の心臓で代用できると考えたのだろうか? ウェスタビーは、その生命の鼓動を刻む臓器の手術に挑みつづける。心臓が右側にある男の子、5度も同じ心臓疾患に冒された女性、人工心臓によって7年もの「追加された人生」を生きた医師。ひとつとして同じ心臓などなく、どの患者にも手術台の上で胸を切り開かれるまでの人生があった。ウェスタビーがあきらめることは、いつでも目の前の患者の人生の終わりを意味した。心臓が動かなくなるより不幸なことは、人生には訪れない。もしそれまでの人生がどれほど苦しみに満ちていたとしても、そしてもしそれからの人生が、他人の心臓や機械の心臓とともに生きる戦いの日々だったとしても――。

ユーザーレビュー

  • 意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか

    Posted by ブクログ

    【麻酔薬を投与するとき、私はいつも患者に「一〇〇からカウントダウンしてください」と言う。私の経験では、九〇より先まで数える患者は一人もいない】(文中より引用)

    もはや現代の医療に欠かすことのできなくなった麻酔。その発明に至るまでの歴史を振り返りつつ、麻酔科医がどのような問題意識を抱えながら職務に臨んでいるかを垣間見ることができる作品です。いまだに麻酔がどのようなメカニズムで効くのかが完全には解明できていないというのは驚きでした。著者は、小児科を専門として年間1000人以上の子どもに麻酔処置を施しているヘンリー・ジェイ・プリスビロー。訳者は、翻訳家として活躍する小田嶋由美子。原題は、『Coun

    0
    2021年07月08日
  • 意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    下北沢B&Bにて購入。麻酔科医は何をしているのか?という副題はちょっとミスリーディングかもしれないと感じた。これは、プロフェッショナルがプロフェッショナルとして何を行動規範としているのか?ということに関しての文書であって、その題材が、たまたま麻酔科医であるということなのだと思った。このプロフェッショナル感がたまらないのだが、このようにプロフェッショナルとしての倫理を彼が何故磨いたのか?
    麻酔導入に使われる笑気ガスを吸うと何故人は意識を失うのか?のメカニズムが全くわかっていないという。この事実が一つ倫理観を磨き上げる理由となっている気がした。

    0
    2020年09月05日
  • 意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか

    Posted by ブクログ

    タイトルからして、麻酔中の意識がどのようになっているのか、とか何か盛り上がって脳科学的な話かと思っていたら、全然違いました。
    が、麻酔科医の独白で、医師としての喜びや葛藤が綴られていて、私は素直に感動してしまいました。
    脳外科マーシュの告白とよくにた雰囲気です。

    0
    2020年07月19日
  • 意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか

    Posted by ブクログ

    麻酔科医は、黒子であるが、常にスタンバッテいないといけない。症状に合わせた施術を行わなければならなく、患者のことを主治医同様に知っていないといけない。麻酔の聴く仕組みは本当にはよくわかっていない。新しく麻酔科医に広まった薬はここ20年くらい出ていない。

    0
    2020年02月28日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!