日経書評を読んでから読みたくて堪らなかった本です。
この本は「ウルトラセブン」最終回に使われた音楽がシューマンのピアノ協奏曲、カラヤン指揮リパッティのピアノ演奏であると判明するまでの少年の執念、それを入口としたクラシック音楽への素晴らしさが描かれています。
何に共感したかと言うと私もほぼ同じ思いを抱
...続きを読むいたからなんです。
最終回のドラマチックな音楽は一体なんだろう?との思いはずっと持ってました。ただ作者の様に執念を持っていた訳ではなく、またカセットテープに最終回を録音すると言う発想もなく、漫然と探していました。
随分大人になってからラフマニノフのピアコン2番が好きな曲となり、派生して有名なピアノ協奏曲を順番に聞いているうちに発見しました。
判明した時は確かに嬉しかったです。本作者ほどドラマティックじゃないですけど。この本は同じ曲でも指揮者、演奏者によって曲想が全然違う顔になる事を実感を持って説明しています。クラシックファンなら誰でも通る道ですが、作者は全部ウルトラセブンで経験したところが凄い。
作者が名作であると思う話を音楽と共に紹介していますが、実相寺昭雄監督作品、金城哲夫脚本作品を選んでいるところも興味深い。
実相寺監督はウルトラマンでもスカイドン、ジャミラ、シーボーズ等で変わった演出をしていて、ウルトラセブンでも癖のある映像を残して私もお気に入りの監督です。金城哲夫氏はNHKで特集されたり1冊の本になっているほど異種族・異民族との共生に拘った人です。
クラシックファンもウルトラセブンファンも唸らせる最高の1冊だと思います。