竹村和子の作品一覧
「竹村和子」の「愛について アイデンティティと欲望の政治学」「触発する言葉 言葉・権力・行為体」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
後半部分が特に素晴らしかった。フェミニズムって言うのはどうなんだみたいな意見をよく聞くが138ページの「フェミニズムは、「女」に位置づけられている者が、女に対してなされる暴力を言挙げしつつ、それによって「女」という名前をジェンダーにおいても、セクシュアリティにおいても、セックスにおいても返上しようとしてきた軌跡である。」本当に。今はジェンダー論に回収されがちだが、まだフェミニズムということばには力があるはず。
愛の喪失の感覚に向き合うこと。喪失をただ反復して公的な主体を構築してきた所謂男性的社会といった書きぶりは本当に見事で、喪失がブルドゥーのいうハビトゥスを変形させうるというところは首がもげるほどうなずく。私が戦後文学やサブカルに拘泥するのはこの喪失の感覚が書かれているにも関わらず、ほとんどそれに関して正面から向き合った議論がされてこなかったのではないかと思うから。
ここまでは批評や哲学の話だが、これが政治学に接続される後半部分は胸熱でした。国民国家の体制を補強するものとしてはレズビアンが、ネオコロニアル的な搾取に加担させるものとしては女性の職場進出が使われているというのは、自分が就活で感じていたモヤモヤをスパッと言語化してもらった感。勿論数として増やすという外側からのテコ入れは不可欠なのだが、実際問題意識が共有されているかと言われれば、むしろバックラッシュが起こっている感あるもんな。
再占有からも極度の分裂からもすり抜けるという隘路を理論・実践・政策において進もうというラストの呼び掛けは二元論の超克としてはひとつの完成系なのではないかと思いつつ、やはりこれだと政治の世界でパワーを持たないのかな?とも思った。
齋藤との対談も興味深く、私は親密圏、ええやん共同生活者みたいなんも入りそうやし〜と思ってたけど、竹村は公共圏と親密圏からこぼれ落ちるものにも目をつけていて流石という感。齋藤さんがやられっぱなしで議論の筋が見えにくかったが…
最後に抜粋。
「社会を変革するような革命は、ささやかな日常の読みの実践のなかに芽吹く」
泣いちゃうよ〜。もうちょいがんばる。
Posted by ブクログ
第1章はふつうに為になる。
第2章「愛について」がいちばんおもしろかった。精神分析の〔ヘテロ〕セクシズムを精緻に批判して取り除いていったうえで愛の不可能性の議論に到達するロジックと文章の美しさ。
第3章「あなたを忘れない」は、自分が「女」ではないため母-娘関係の議論に自分事として深く感情移入しながら読むことはできなかったが、そうして辿り着いた「「不在」の子供への呼びかけ/母に対する娘の呼びかけ」をまさに実践するかたちでの終盤の誌的でありながら論理的な総まとめの文章の連なりには圧倒された。
たほうアイデンティティが主題となる後半の3, 4章は抽象的で難解過ぎて今の自分にはしっかり付いていくことができなかった。
この密度の哲学的なフェミニズム批評書を一冊読み通すのは初めての経験だったが、竹村和子がさまざまな意味で稀有な思想家であり書き手であったことだけはまざまざと思い知らされた。