業界歴の長い著者による比較的軽いタッチで描かれた本で、金融業界に関わるプレーヤーへの理解が深まる。
運用業界は、資金提供元の年金や銀行、保険などの「マネーの代理人」であり、
フィデュシャリー・デューティーに則って業務遂行にあたる。
そのなかで、ベータ(市場に追随することで得られるリターン)を超過す
...続きを読むるアルファ(超過収益)を創出するために、
世のファンドマネージャーは智慧を絞るのだが、人事上のインセンティブも絡んで、アルファへの強いインセンティブが働くことで、
マネーゲームと化している可能性を指摘。
市場の流動性を高める以外の社会的意義について、疑問を投げかける。
一つの解決の方向性として、ESG投資を挙げており、持続的で長期的なリターンを目指すことで、マネーの流れを変化させ、
真に意義のあるビジネス、領域に、マネーが流れるようになることを希望している。
また、企業の運用会社の担当者に対する情報開示と同程度に、個人投資家への情報開示も充実させれば、
いわゆるデイトレードではなく、意義のある企業、事業に投資する流れができるのでは、との指摘は興味深いと感じた。