伊藤恭彦の作品一覧
「伊藤恭彦」の「さもしい人間―正義をさがす哲学―」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「伊藤恭彦」の「さもしい人間―正義をさがす哲学―」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
世の中は「さもしさ」に溢れている。
現代社会のひずみ、不条理、不公正を「さもしさ」という言葉に収斂させ、あぶりだし、その解決を提起する政治哲学書。「政治哲学」などと言うとお堅い印象を持ちますが、そこは著者持ち前のユーモアが遺憾なく発揮され、ご本人曰く「低空飛行」な分かりやすい説明でまとめられています。アンパンマンとウルトラマンの差を、こんなに明快に説明できる学者さん、他にいるのかしらん。
身の回りにも、世界もどこかにも、目を覆いたくなるような不幸はいっぱい転がっています。「俺達は不条理の中で生きている」(@武装錬金)なんて言いたくなる所ですが、そう割り切ってしまうのは、思考を停止する事でもあります。自らの「さもしさ」を軽減し、「お互いさま」な社会を作るために何が出来るのか。真剣に考える事は何より自分のためになるはずです。…あれ、この論理もさもしいかな(苦笑)。
結論部分で具体論が明示されず、やや足踏みをしている印象も拭えませんが、本書はハウツー本でもバイブルでもありません。読み手1人1人に思考を迫る、その意味ではまさに学術書でした。
でも先生、結構イケメンだと思うけどジョージ・クルーニーはさすがに無理ではないでしょうか。
Posted by ブクログ
人間の「さもしさ」とはどういうことだろう。
国語の意味としては、欲深く心がいやしい、あさましいことだと。
数年前に起きた中国製毒入りギョウザ事件、この犯人は貧しい農村からの出稼ぎだったようだ。今やGDP世界第二位の中国だが、その貧富の差は日本とは比べものにならないほど激しく、かの出稼ぎ犯人も低賃金で過酷な労働を強いられていて、その腹いせということだったらしい。このギョウザに限らず、こうした中国の底辺の人たちの過酷な労働で作られ安く日本に輸入される食品の数々。さらに安い品物を貪欲に追い求めるがごとき日本人は「さもしい」とは云えないのか。
牛肉1kgを得るのには、飼料としてトウモロコシ10kg分が必要なのだと云う。贅沢になった我々は牛肉を何も思わずに食べているが、もし牛肉を食べるのを止めトウモロコシだけを食べるとしたら、世界で飢餓に苦しんでいる人達に9kgのトウモロコシが回って行く。飢餓の人たちを救えるのにも拘わらず牛肉を平気で食べる我々は「さもしく」はないのか。
我々が普通にしていることが実は、人に迷惑をかけたり不公平であったり底辺の人たちを苦しめる結果になることがあるという事実。我々はこのことをどう考えたらいいのだろうか。いや、それは我々には関係のないことだと一笑に付していいものなのか。
伊藤恭彦「さもしい人間~正義をさがす哲学」を読む。こうしたことを改めて知ると、何か後ろめたい気持ちになる。牛も豚も鶏もダメ、自然のまま採れる魚(養殖はダメ)しか食べるものがない、などと。しかし、これも何かおかしい。
ではどう考えるのか。だからそれは不公平であるのかどうか、弱者にはそれなりの救済が与えられているのかどうかがポイントではないかと。それが正義と云えるのではないかと。正義と公正、考えれば考えるほどに難しい。