<どんな本?一言で紹介>
アンソニー・ロビンズの公式プログラム"ウェルスマスタリー"のファシリテーターを務めた唯一の日本人・大森健巳氏がおくる、「バリュークリエイト交渉術」。
<どんな人におすすめ?>
営業職、セールスが必要な人。
組織を動かすときのコミュニケーションに悩んでいる人。
リーダーになりたい人。
<読んだら、どんなことが分かるの?>
「世界一」と呼ばれる各分野のトップたちと、一緒に講演をおこなう唯一の日本人が教える「最高の交渉」。
・ 交渉の達人は交渉をしない
・ 「WIN-WIN」など目指さない
・バリュークリエイト交渉術は、相手に力を与える
・「パイを広げる」という発想
・4つの交渉ステップ
・「3つの層」に問題を分解する
・交渉の7つ道具
・「バリュークリエイト交渉術フレーム」
<日々の生活、仕事などに活かせるポイント>
1.「面白いですね、興味があります。もっと聞かせていただけますか」
まず大事にしたいのが、自己主張を控え、しっかりと相手の話を聞くこと。相手が「何に関心を寄せているか」を知り、自分が「どんな価値を提供できるか」を話すように努めよう。「面白いですね、興味があります。もっと聞かせていただけますか」と質問をすることで、相手が魅力を感じている価値を積極的に理解することが大切だ。
また、交渉の決定には相手の「感情」が大きく影響する。そこで、人間のもつ「4つの承認欲求」への対応を心に留めておきたい。「4つの承認欲求」とは、「価値理解」「自律性」「ステータス」「役割」からなる。相手の価値を認めてあげること、決定権をもたせること、地位を尊重すること、役割を満足させてあげること。これらをしっかり配慮すること。
2.「3つの層」に問題を分解する
バリュークリエイト交渉術において不可欠なシステム、それは「4つの交渉ステップ」だ。これは、行き当たりばったりの交渉を避け、確実に成功へと近づける交渉の基盤として、常に念頭に置いておくべきシステム。
「4つの交渉ステップ」は、「ゴールが最も大事」「相手の認識がすべて」「本当の問題を探す」「価値ある解決策を創り出す」。なかでも、第3のステップ「本当の問題を探す」は重要で、その過程から「問題こそがチャンスだ」と認識できるようになる。
「本当の問題を探す」、そのためには、問題を分析し正しく把握すること。問題を分析、すなわち構造化するには、「条件の層」「プロセスの層」「人の層」の3つに分け、この順で発生場所を特定する必要がある。
第一の「条件の層」は、お金・時間など条件面での問題で、一般的に問題となったりもめたりするのは、ほぼこの層に問題が発生している。第二の「プロセスの層」は構造・工程・スキルでの問題で、くりかえし問題が発生する場合は、この層に問題が発生しているのかもしれない。第三は感情・価値観・アイデンティティからなる「人の層」だ。階層が深くなるほど問題は複雑化するが、それは真の問題に近づいていることでもある。
問題の発生箇所を特定したら、次は対処だ。ポイントは「別の層」で解決策を考えること。たとえば、やっと資金を集め借金を返したものの、また新たに借金を抱えてしまったとしよう。このとき、「再度資金を集める方法を考える」というのは、「条件」という同じ階層での対応であり、根本的な解決にはならない。
こうした場合、借金がもともと発生した理由、つまり構造や工程の「プロセスの層」に移って解決策を探すべきだ。ビジネスモデル、または支払いの順番が根本原因ということもありえる。また、プロセスの層でも解決しない場合はさらに階層を深め、「人の層」で考えてみるべきだろう。
このように、問題を3つの層に分けて分析し原因を探るだけでも、目標達成に大きく近づけるようになる。
3.不等価交換
「交渉の7つ道具」。バリュークリエイト交渉術のなかでも、必須となるツールが「不等価交換」だ。「100円の商品を100円で購入する」という等価交換は、バリュークリエイト交渉術においてはまったく評価されない。
「不等価交換」を成功させるためには「誰かにとってはゴミでも、誰かにとっては宝物」という思考を身につける。「5倍」を基準として、積極的に交換機会を狙おう。要するに、自分にとっては1の努力で実行可能でも、相手にとっては何倍も努力が必要なことを狙う。
たとえば、英語は得意だがプレゼンテーション技術が足りない場合は、プレゼンテーションは得意だが英語力を必要としている人と交渉する。
時間、場所、紹介、権利、ノウハウ、アイデア、マネージメントなど、あらゆる「もの」「こと」には、価値ある宝物に変わるポテンシャルが含まれている。これからはそのことを常に意識していくことが重要だ。
<感想>
目から鱗。いわれてみると「確かに」と感じるが、その「当たり前のこと」と感じることが、できていないのだと痛感。
本は、そういった「当たり前」の再認識と、その「当たり前」を実践するための手段を明示してくれるのだと思った。
やっぱり極めている人の話が一番。