中国国内で諷刺漫画を描いていた漫画家が共産党統治の実態をユーモラスに描く。(著者は中国政府の迫害により2014年から日本に滞在、2017年にはアメリカに移住している。)
習近平が権力を握るまでの背景やネット規制の方法のほか、規制がゆるくリアリティや時代考証を無視してどんどん逸脱していく反日ドラマ(
...続きを読む抗日神劇)、党の宣伝がエスカレートしていく中国版紅白の春節聯歓晩会(春晩)、人民解放軍の内情など、普段のニュースではあまり知ることのできない内容が多い。
共産党は人命よりも面子を大事にする、人民解放軍の最大仮想敵は日本でもアメリカでもなく中国国民であるというのはなんとも恐ろしい。
普段は「嫌中」「嫌韓」のような本は読まないようにしているが、チベット・ウイグル問題、香港のデモ弾圧、台湾周囲での軍事演習など、近年特に横暴になる中国政府の振る舞いを目の当たりにして、さすがに内情を知っておく必要を感じ、せめて意見が偏らないように中国人の視点からと思い本書を選ぶ。中国関連のニュースは良くないことばかりが報道され気が滅入ってくるが、あくまで政府・共産党と(大部分の)中国国民は分けて考えるということを忘れないように。
警察に連行されても、微博のフォロワーに助けを求め、電話、メールを一斉にかけてもらって厳しい追及から逃れるという中国人らしい行動力には感動する。
(「日本鬼子」「小日本」という蔑称すらも日本のネット民は萌えキャラにしてしまったということを本作で知って感心した。)