トヨタの車販売台数が減少の一途をたどる不況の中、着実販売台数を伸ばし続けているネッツトヨタ南国株式会社の、元社長で現相談役の横田英毅氏の経営の神髄が詰まった一冊。
ネッツトヨタは全国のトヨタ販社300社中、2014年時点で12年連続顧客満足度NO1に選ばれている会社でもある。
この会社のすごいところは、高知という他県に比べて人口減少が大きな環境下でも、全国1位を取り続けているところにある。
そんな会社を率いる横田氏は、「いちばん大切なことを大切にする」という理念のもとに経営をされている。
「全社員を人生の勝利者にすること」を会社の目的とし、「勝利者とは自分の可能性を最大限に発揮できる人」であり、そのためにも「経済につながる道徳を追求する」ことを大切にされている。
このように書くと、想いにあふれ情熱的で感覚的な要素が強いのかなとも思うかもしれませんが、横田氏は理系の方で、このように想いや感覚によって行くところも、理詰めて考えているからこその結果なのかもしれませんね。
実際本を読むと、完全に理屈でも納得させられます。
以下では、基礎基本ではあると思いますが、横田氏も重要視されおり、私自身も改めて見つめなおそうと思ったものを3つピックアップします。
1.自分で気づかせることが一番の教育
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当たり前のことを人並み外れた熱心さで続けること
他人と過去は変えられない。変えられるのは自分と明日。
他人を変えようなどと不可能なことをするのではなく、自分で気づかせ、自分で自分を変えるきっかけをつくってあげる
自分で考え発言し行動し反省することで成長する
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社員全員の可能性を最大限に追求することを大切にされているからこそ、自分で気づかせ、自分を主体的に変えていくことを重視されている。
確かに、人から言われたことははじき勝ちです。特にプライドが高い・自信がある人ほど優秀な人ほどその傾向があると思います。
逆に自分で考えて決めたことは責任の所在が自分にあることが明らかなので、プライドが高く、自信がある人ほどそれを認めざるを得ないですし、その分成長も早いのだと思います。
時には、プライドが邪魔して反省できない人もいるとは思いますが。
2.人材が命
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教育は大切。
しかし採用はもっと大切。
私は創業時から最初の10年間、採用の第一線に立って、使える時間のほとんどを人材確保に割いてきました。
採用活動にかける費用を惜しんだことがありません。
人材の確保が、会社にとって何より重要なことだと考えているからです。
採用するのは年5-10名でしたが、我が社の採用にかける費用は当時でも1000万円以上。これは、同程度の規模の会社の5倍前後に達していたと思います。
30時間の面接でお互いを知る
会社の質は全部人から
※今だけ金だけ自分だけを否定する
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教育はもちろん、それ以上に人材の確保に全力を挙げている横田氏。
採用に30時間かけているというのですから、すごいことです。
それだけ、採用したからには全責任を持って「全社員を勝利者にする」という覚悟が伝わります。
だからこそ、一緒に働く人の価値観を非常に重要視しています。
特に「今だけ金だけ自分だけを否定する」ということを言われており、自分という小さい枠だけでなく、同じ会社の仲間を運命共同体として皆で勝っていくことを徹底されているなと感じます。
このトップの信念の強さが、きっと会社の経営に直結しているのだなと思うと、一度ぜひ会社にお邪魔させていただき、お会いしてみたいものです。
3.主体性を磨け
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リーダーシップとは主体性のこと
自らを経営する力を一人一人がつけていくこと
トップが自分を変えることができれば会社は変わります。
ところが自分を全く変えようとせず会社を変えようとしている経営者が多いのが現実です
全員が一体となってチームワークを発揮できるようにするため、経営者には、最大限の注意と努力が必要
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逆説的かもしれませんが、会社を一つの船として、皆が全員で勝っていくためにも一人一人が主体性を持つことが重要になるということです。
会社の一体感が、”依存”に向かうと責任のなすりつけ合いが起こり問題が起こりがちですが、一人一人が自立し”協力”体制にあるなら力が掛け合わされて全体が引きあがるように思います。
最後にある「全員が一体となってチームワークを発揮できるようにするため、経営者には、最大限の注意と努力が必要」というところに、経営者としての力量と器の大きさが試される気がして、気が引き締まります!!
何度でも読み返したくなる1冊です。