フォーブス弥生著、稲島司監修『長生きしたけりゃパンは食べるな』(SBクリエイティブ、2016年)はパン食が健康を害すると指摘する衝撃的な書籍である。タイトルの通り、パンを食べないことを提唱する。
ご飯に比べるとパンは手軽なイメージがあり、パン食を好む人もいるのではないか。しかし、原因不明の体の不調は
...続きを読むパン食が原因かもしれない。小麦に含まれるタンパク質「グルテン」は脳に炎症を起こし、腸に小さな穴をあけてしまう。パン食によってグルテンを大量に摂取することになる。そこで本書は小麦抜き生活「グルテンフリー」を提唱する。
現代人に広がる体の不調の原因がパン食にあるとの指摘は納得できる。日本のパン食普及は敗戦後である。アメリカ産小麦の輸入国にするための陰謀論まである。パン食の普及と並行して、慢性的な体の不調も現代人に見られるようになった。
恐ろしい点はグルテンに依存性があることである。だから一定の期間、パンなど小麦を食べることを絶つ必要がある。これは危険ドラッグなど依存性薬物の治療と同じである。逆に一定期間パンを絶つとパンを食べたいという気持ちがなくなるという。
実は食事による健康法を説く最近の書籍では依存症や中毒性がキーワードになっている。塩分取りすぎを戒める書籍では塩分には依存性があると指摘する(島田和幸『専門医が教える高血圧でも長生きする本』幻冬舎、2016年、68頁)。
糖の取りすぎを戒める書籍でも糖に脳内麻薬分泌による依存性があると指摘する(西脇俊二『難病を99%治す技術』実務教育出版、2016年、21頁)。危険ドラッグ吸引者が激辛の四川料理に病みつきになるなど薬物中毒が味覚をおかしくするとの指摘もある。中毒、依存性問題を真剣に考える必要がある。