▼あらすじ
家と家族を守るため資産家の家に差し出され嬲り者とされてきた透。
そんな中、嬲り者にしていた義父が亡くなり息子が帰ってきて…。
***
この作家さんの小説を読むのは初めてだなぁ…なんて思ってたら、某作家さんの別名義だという事を読み終わってから知って吃驚。
この作品、雑誌掲載時にはエロと
...続きを読む鬼畜がテーマだったらしいのですが、単行本にするにあたって攻めの紳士度が増し、その分鬼畜度が減ってしまったそうで。
確かに、思ってたより甘めな作品だったな、と。寧ろ、鬼畜ですら無かった気がします(笑)
割と最初の方で攻めが受けを陵辱するシーンが出て来ますが、決して無理やりという訳ではなく、どうせ抱くなら相手も気持ち良くさせる…みたいな事を言ってるくらいなので、鬼畜って感じはしなかったかな。
寧ろ本当に鬼畜だったのは攻めの父親と使用人の男くらいで、それと比べたら攻めなんて優しい方だと思いました。
それに、誤解が解けた後は攻めも受けに対してより優しくなってたし、鬼畜攻めがあまり好きではない私には却って都合が良かったです(笑)
因みに、テーマの一つであるエロの方はバッチリでした。
何より雰囲気が良かったですね。どこか閉鎖的で、背徳感のある雰囲気が漂っており、表現の仕方を見るに官能小説を意識してるのかな?と思いました。
『田舎』『未亡人』『喪服』『愛人』といかにもな材料が揃っているので、自分でも意識していなかった性癖をくすぐられたというか、正直、ただのエロよりもエロく感じました(笑) こういうの、結構好きです。
あと、受けが個人的に好きなタイプのキャラでした。
幸薄系なんだけど、見た目とは裏腹に芯はしっかりしてるというか。
薬の影響で淫乱になるシーンもギャップがあって良かったですし、その後の「初めてはあなたが良かった」「あなた以外、誰も知りたくなかった」って殺し文句にはグッと来ました!( *´▽`*)b
因みに攻めも思ってたより紳士だったので悪くはなかったのですが、最後の方で「こんな風に女みたいにオマ○コされて、どうなんだ? 言ってみろ(原文ママ)」と言ったシーンが下品過ぎて正直、ちょっぴり萎えてしまい…(^^;)
同じような男性向け表現は使用人の台詞でも出て来ましたが、まさか攻めは言わないだろうと思っていたので、これはうーん…って感じでした。
また、最後の最後まで攻めと受けの関係が曖昧なままなのもマイナスの一つかな。
結局、好きとか愛してるとかそういう決定的な言葉は二人とも一切言っていないし、二人とも好き合っているのは分かるけど、言葉にしない限りこれってただのセフレなんじゃ…と思うとイマイチ納得出来ないものがあったり。
でも、読後感は悪くないので後は想像で補完する事にします。
イラストはかなり癖があるので、好みがハッキリ分かれるところかな。
私はこういう作品こそ、笠井あゆみ先生のイラストがぴったりなんじゃないかと思ったのですが、表紙絵は結構好きです。(中はちょっと苦手寄りかも…?)