ジャンナ レヴィンの作品一覧
「ジャンナ レヴィン」の「重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「ジャンナ レヴィン」の「重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
小説・文芸
Posted by ブクログ
アインシュタインがその存在を予測してから100年、2015年秋米国ルイジアナ州とワシントン州に置かれた検知器LIGO (laser Interferometer Gravitational-wave Observation)で、ついに重力波が人類によって捉えられた。長さ四kmのアームの中で、陽子の直径の一万分の一のレベルの時空の変化を捉えたものだ。観測実験技術として想像を超えるほどの高度なノイズ除去技術が必要なことが何も言われなくてもわかる。ノーベル賞がほぼ確実視される偉業であり、宇宙の観測に新しい手段を加えることによって、現在の宇宙論が抱えるダークマターやダークエネルギーという謎に関して新しい発見が今後期待できるものである。
本書は重力波自体についての解説本ではなく、重力検知までの長期わたったプロジェクトにおける個性の強い科学者たちの実に人間くさいドラマを描いたものである。大規模になる組織の中で、対立があり、失脚があり、失意がある。多くの人が重力波を追い求めて、その研究者人生を賭けている。重力波が検出できるかどうかも賭けである(実際に研究者の間で賭けが行われた)。多くの時間とお金がそこに賭けられてきたのだ。そして、運も必要で、それが引き起こす重力波が検知可能なほど大きな天体イベントが適切な時間内に発生することも条件だ。ソーン、ドレ―ヴァー、ワイスという個性的な面々が、ひとつの結果を求めて引き返せない道を突き進む。「この山登りの視界は頂上に向けてしか開けていなかった」中で、彼らは「空はけっこう騒がしい」という方に賭けたのだ。
「重力波の検出はリスクが大きく、論争の的になっており、技術的に不可能に近かった。しかし、重力理論に基礎分野として大きな関心が集まるようにするための唯一の道でもあった」と語る。この本が書かれ始めた時点では重力波が検出されていたわけではなかった。この本の準備もすでにそれほど勝ち目が高くなかった賭けでもあったのだ。
この本を読むと、科学研究というものが一種の賭けであることがよくわかる。賭け金は科学者自らの時間、報償は科学者としての名声。ノーベル賞が最終的な目標でもある。若いころに一発当てて名声を得て、大御所となる。その機会を逸したものは報われるものは少ない。ある意味では芸人の世界とも似ている。個人のタレントで戦う世界の構造は互いに似てくるものなのかもしれない。
もちろん違うところもある。言うまでもない。本書の中でもホイ―ラーの「世界に以前よりもいくらか余分に美と統一性を与えてくれるような世界のビジョンや地図や像を構築したいという衝動こそ、科学の探究を突き動かすものなのだ」。いや、あらためてもしかしたら芸人の想いも相似するところもあるのかもしれない。
現在の科学というものの一端を示してくれる本。これから科学者を目指すような若い人にこそ読んでほしい。
重力波検出という結果は、感動的でもある。そして彼らの重力波検出の裏で、密かに泣いている研究者が幾人もいるのだ。
Posted by ブクログ
重力波とは何か、その謎を追う科学者たちのノンフィクションストーリー…というよりは、身内争いや政治圧力や対立などを克明に描いた告白本に近いかな。
ブラックホールは光すら逃れられない強力な重力を持っており「どんな直接的観測結果も得られない」はずだった。
だからこそ重力が生み出す空間の歪みが重力波となり、歌として聴こえるかもしれないという理論は素晴らしく魅力的になる。ブラックホールの直接的観測が可能になるからだ。
重力波の骨子はこんな感じだけど、まぁ9割くらいは人と人の諍いに割かれている。別に悪いというわけじゃなく、「科学者」として生きていくなら「科学」だけをしてるわけにはいかないぜ、って当たり前のことをしっかり言ってるだけな気もする。
人との関係性とか資金を集めてきたりとか、一緒に働く人を知るとか…。ポスドクという立場のメンバーも含めて、そう言ったある意味「リアル」な「科学者」を語ったのが本書なんじゃないでしょーか。
社会人からすれば当たり前だけどね…。
しかし帯コメントでワイス博士が『痛快な読み物だ』とか言っちゃってて本当にそう思ってるか!?とは感じたけど。本当に思ってるなら大した人だよ…。