裁定取引という考え方や信用創造について教えてくれる本。
自分自身がプロでないのではっきりはわからないが、脱初心者を目指すあたりの人にはよいかもしれない。
また、全体的に分かりやすい内容だし、文体もくだけた感じで、ある意味とっつきやすい。
裁定取引一例メモ:
原油価格が高騰した場合、他の低価格な代
...続きを読む替エネルギーの需要が高まり代替エネルギーも高騰する。裁定取引により、原油売り・代替エネルギー買い の売買が発生する。価格がつられて上昇するのはこういう理由。
信用創造メモ:
銀行に1万円預ける。
銀行は引き出されることを想定して、日銀に確保する義務(法定準備預金)がある。法定準備率が10%の場合、銀行は9000円貸し出せる。貸した額分だけまわりまわって結果、9000円が銀行に預けられる。
そうすると同様に、その9000円に対して8100円貸し出せる。
これを繰り返すと、法定準備率が10%の場合、10000/0.1→100000の循環(貸出)を生み出すことになる。これが信用創造。
これの逆に、貸し出し先が一つ(1兆円)貸し倒れした場合、銀行は損失を被る。貸し出しによる利益の範囲内であればよいが、資産減少となる場合は、BIS(国際決済銀行)や金融庁のルールが存在するために問題となる。
例えば、以下のメガバンクがあるとする。
総資産50兆、自己資本4兆円(=自己資本比率8%)
BISのルールにより自己資本比率8%を割れると海外展開できない。
海外業務を続けるためには、下記が必要。
①株などの発行で資本を充填するか
②すでに貸している所から資金を回収
貸し倒れするような状況では民間も資金が不足しているので①は難しい。②を選択することになるが、3兆円の自己資本で8%の自己資本比率を達成しようとした場合、総資産を37.5兆円にまで圧縮する必要がある。つまり50兆-37.5兆→12.5兆の回収圧力がかかる。1兆の自己資本減で12.5兆の信用が消滅することになる。
これは、信用創造が逆回転を始め、「信用収縮」が進む現象。このような状態をクレジットクランチ(信用危機)と呼ぶ。