かなり前に断片的に青函トンネル物語を読んだことがありましたが、北海道に新幹線も来たことだし、再度読み込んでみました。
戦前から構想のあった、青函トンネル。驚くべきことに終戦直後から調査が始まっています。
当時の調査といっても、船を出し、船からバケツを下ろして海底面の石をかき取る、人工地震を起
...続きを読むこして断層面の位置を図るなど、今から見るとローテクも良いところ。そんなデータをもとに海底面の地図を作り、地質を予想し、ルートを決定していったのです。
でも結局は、
「掘ってみないとわからない」
そんな工事に入札し工事を受注した鹿島建設をはじめとするJVもすごい。
大出水、砂(掘っても崩れるだけなので砂の層が数メートルを超えるとトンネルは掘れない)、地圧の高い層(掘ったそばからトンネルが地圧で潰れていく)。
そこで行われたのは海外の事例や他のトンネル工事をもとにその場で技術革新を加えていく取り組みです。
また、青森側は作業員が暮らせる住宅建設から始まりました。その住宅用の資材を運ぶ道路から作った、と。
困難に挑み、それを成就させた男たちの壮絶、壮大なドラマがありました。
今後の日本で同じような工事はもうないでしょう。この技術は失われてしまうかも知れません。
そうすると、これからの我々は技術的には衰退していくのでしょうか…などと思いを馳せて本を閉じました。