名著『リファクタリング』でも有名なITエンジニアの巨匠マーチン・ファウラー氏が、エンタープライズアプリケーションの方式について書いた解説書。
ちなみに、エンタープライズアプリケーション≒業務アプリケーションのこと、と理解しています。
日本で業務アプリケーション開発をしているITエンジニアなら、書籍
...続きを読むなどから得たデザインパターンやテクニックを、結局のところ業務にどう適用すればいいのか、で悩んだ人も多いはず。
そこに踏み込んだ書籍は、自分の記憶にはほとんどなく、これらのいわゆるオブジェクト指向な業務システム開発を売りにして成長する企業もあるくらい、この部分は大事なノウハウだったわけです。
思い返せば、自分が社会人になって間もない10年位前がそんな時代でしょうか。
巨匠マーチン・ファウラー氏が「テクニックは使えてナンボ」と、ノウハウの囲い込みよりも、ITエンジニア発展のためにと踏み込んでくれた書籍が、この解説書だということになるのでしょう。
違ってたらすいません。
で、改めて読ませていただきました。
現在では、各企業に根付いていて、使いにくいと文句を言いながらも使いこなさざるを得ないてあろう「業務アプリケーションフレームワーク」。
これが隠蔽しているアーキテクチャの部分に対する内容がほとんどです。
まあ、そうなりますよね・・・。良いのか悪いのか、今は、アーキテクチャが分かってなくても、プログラム開発ができてしまう時代です。
ただ、解説の内容はとても良かったです。
「なぜ、このアーキテクチャはこうなってるんだろう」とか、漠然とは理解しているけど、まわりを説得させるほど上手くは説明できなかったようなことがしっかりと解説されてますし、何より「マーチン・ファウラーがそう言ってんだから間違いないでしょ」というキラーコメントで周りを説得できたりしますw
また、汎用的には決められない(正解がない)ことは、その考え方が示されてますし、ちゃんと読み込んで、中身をちゃんと腹に落とせば、血となり肉となる内容だと思いました。
業務アプリケーションフレームワーク自体を開発していたり、コアな部分の開発に携わっている方は、ぜひお奨めです。
ひとつ注意すべき点は、この書籍は、決してベストプラクティスでは無いということ。
サンプルソースまで付いているので、このままフレームワークとして使えそうな気がしますが、これは、ある条件、ある時点においての解であり、他の開発に当てはめる時は、このアーキテクチャを理解した上で、その条件、その時点の最適解を見つけないといけないということです。
あと最後に。
翻訳版の本書が、その側面で酷評されているのは承知です。そこは否定しません。
自分も置き換えられた日本語に違和感を感じる部分は多数ありました。英語ができるなら原文を読んだ方がいいのでしょうね。
それでも、アーキテクトとしてやっていくなら、ぜひ目を通したい書籍だと思いました。