とても貴重な史料であると思う。
丁寧に細密に書かれている。
日本人としては、どうしても上から目線にいらっとすることもあるし
横暴であるなと感じるペリー提督の行為ではある。
また、飽く迄アメリカ側の目線であり、真偽不明のところがある。
スパイ政府と日本が呼ばれているのが意外に感じるし
オランダ人が
...続きを読む自分たちの利益の為にイギリス人を悪く言うなど
当時の世界情勢、各国の力関係なども理解できる。
フェートン号事件のくだりを読んでいて、
当時の役人の国防に対する目線、
失敗したら達しが来る前に自決をしてしまう責任感、判断力に
思わず現代の日本の政治家や国民と比較してしまい、溜息がでる。
決意の上で仕事につくということが、普通ではない現代だ。
祖国がなくなっても日本の出島で翻っていたオランダ国旗。
小さなオランダ。不思議な因果。
そんな偶然のような必然で、歴史が形作られている。
繰り返し出てくるのは、日本人に対する
勇敢、誇り高い、寛容、気高い、勤勉、器用といった言葉たち。
教科書ではたった数行、武力に屈したとかペリーのお蔭といった書き方もあるが
この遠征記から感じ取れるのはそんなことではない。
実際ペリーから大統領の親書を受け取る際にも
押し負けてばかりではなかった日本人のしたたかさを感じる。
日本人としての誇りを思い出せ。
改めてそう思わずにはいられない事実である。