8件。
これがこの国の最高裁判所が1947年の発足以来64年間(本書執筆時)で下してきた違憲判決の数です。
本書はこの8年に1件の割合と言う少なさに注目した著者が抱いた、「なぜこの様になっているのか?」と言う疑問を切っ掛けに執筆された本です。
全4章に補章と終章、そして巻末に識者インタビューを掲載し
...続きを読むた内容となっており、これらを通して読む事によって、第2次大戦敗戦以降の政治情勢などを踏まえながら、違憲判決と言う視点から最高裁の変化を解説しています。
簡単に内容に触れると、
最高裁の64年の歴史を4期に区切り、それぞ第1期:第1章、第2期:第2章・・・と言った感じで解説が行われ、補章で「1票の格差」裁判について集中的に解説し、終章で最高裁改革案を提示しています。
また巻末のインタビューでは、泉徳治・元最高裁裁判官、棟居快行(むねすえ・としゆき)・大阪大学教授の2人にインタビューを行っており、現状の最高裁の問題点などを指摘しています。
本書は、憲法をテーマにした専門書を読む前に読む、分かり易い一冊として書かれた本であり、法律を専攻する学生達のみならず一般人にも手に取ってもらえる事を念頭に入れて執筆された様です。
その為もあってか、法律に関しては素人の私でも(簡単な概念だけとは言え)「なぜ違憲判決が出たのか、合憲判決が出たのか?」に関する法学的な側面を充分理解できる内容となっており、読み応え十分。
社会を理解するのに役立つ実用的な知識を身につけたく、またついでにちょっと頭に刺激が欲しいと言う方にお勧めの一冊です。