清水ちなみの作品一覧
「清水ちなみ」の「使える!大えっち」「失くした「言葉」を取り戻すまで 脳梗塞で左脳の1/4が壊れた私」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
いや~、闘病記(だよね?)の感想として実に不謹慎だとは思うが、これは面白かった!あの「おじさん改造講座」の清水ちなみさんが、くも膜下出血と脳梗塞によって左脳の機能の多くを失いながら、その脳の損傷からは考えられないほどに回復していく、その過程を綴ったもの。病状はかなり深刻で、今現在も様々な困難のある生活なのだが、とにかくこの本を貫いているのは、明るさとおおらかさだ。無理矢理なポジティブ思考ではない、この自然なスタンスはどこから来るのか。まったく感嘆しきりであった。
週刊文春連載「おじさん改造講座」は、軽妙で目のつけどころが鋭く、愛読していた。OLたちにアンケートを送り、手書きで回答して送り返してもらい、まとめる、というアナログな作り方。「インターネット時代到来前の最後のきらめきだった」というご本人の言葉は、実にその通りだなあと思う。取るに足りない、でもちょっと面白かったりヘンだったりする日常のことを、誰かに語りたい共有したいという気持ちを、たくさんの(ごくフツーの)人が持っているということに気づかせてもらったと思う。今思えば、なんだけど。
その清水さんが、よりにもよって「言葉」を失うとは。脳梗塞の後遺症はまったく人それぞれらしいが、清水さんの場合は、失語症と右の視野の欠損、右手の麻痺が主なものだったそうだ。失語症の症状について当事者が綴ったものって、他にもあるのだろうか。私は初めて読んだ。字が読めないとか、考えていることが言葉にならないとか、それだけでも大変だが、さらに、ものを見ても使い方がわからなかったり、上下左右が認識できなかったり、ちょっとどんな感じなのか想像が難しい症状があった(今でもある)という。
普通は悲嘆に暮れるだろう。いや、清水さんだって嘆いたり泣いたりしたはずだ。子供さんだってまだ小学生と中学生だったんだし。それでも、自分の現状を受け止めて、あれこれ工夫しながらリハビリに励む姿は、ジメジメしていなくて本当にたくましい。そして非常に客観的だ。ここに大きな特徴があるのかもしれない。尋常ならざる状態になった自分を、興味津々で観察しているような感じ、と言ったらいいだろうか。湿っぽさのない軽々とした文章で、あっという間に読み終え、なんだか勇気づけられるような気さえしてきたのだった。
二人のお子さんの姿がいじらしく、ちょっと泣けてくる。また、「旦那さん」がとても良い。ご自分のお母さんとはずっと葛藤があったらしい清水さん、自力で良い家族を作り上げたんだなと思った。