コアになる以外の人物については、そこを踏破した先人のルートをまず倣いたいというのが、自分の考えである。
道がどうできているか、何でできているか。そうした問いを全ての道へ向けることができれば文句はないが、それには時間が限られている。
だから、そうしたものをいちいち解体するのではなく、道を歩くガイドの言
...続きを読む葉で語ってくれる書籍に、自分は特に強い信頼と安心をおぼえる。
そうした意味で、故梅木氏のこのルート取りは、サルトルという道を味わううえで格好のガイドであった。何より梅木氏自身も道だった。
直接性をめぐって苦闘するサルトルと、彼をめぐって苦闘してきた氏。
二つの道の味わい深さは、100ページあまりのこの著からも十分に感じとられた。
あとは、これを忘れることなく反芻し、自分がまた新たな(少なくとも)ガイドになること。それこそ、私に課せられたものなのかもしれない。